もっと知りたい交流史 『歴代宝案』訳注本全15冊刊行記念シンポジウム「琉球王国の外交文書―よみがえる『歴代宝案』」

 12月3日(土)、沖縄県立博物館・美術館において『歴代宝案』訳注本全15冊刊行記念シンポジウム「琉球王国の外交文書ーよみがえる『歴代宝案』」を開催しました。

 シンポジウムは、沖縄県教育委員会の半嶺満教育長(山田みさよ参事代読)の開会のあいさつに続き、第1部基調講演、第2部パネルディスカッションの2部構成で行われました。

 第1部基調講演では、沖縄県歴代宝案編集委員会委員の濱下武志氏(〔公財〕東洋文庫研究部長)から、「歴代宝案から考えるグローバル・ヒストリー-東アジア海域論の再構成-」と題して、単なる朝貢貿易にとどまらない、銀・生糸・胡椒などの世界商品ネットワークの一部につながる琉球の交易ネットワークについてご講演いただきました。

 第2部パネルディスカッションでは、コーディネーターの渡辺美季委員(東京大学大学院准教授)の司会のもと、パネリストの赤嶺守委員(訳注本第6冊担当、名桜大学大学院特任教授)、金城正篤委員(訳注本第9・10冊担当、琉球大学名誉教授)、田名真之委員(訳注本第4冊担当、沖縄県立博物館・美術館館長)、西里喜行委員(訳注本第13・14・15冊担当、琉球大学名誉教授)、濱下武志委員(訳注本第7・8冊担当)により、各担当の訳注本の内容紹介や特徴、宝案成立から復元事業までの過程、さらには訳注本完結の意義や宝案編集事業の今後の課題や展望、期待などについて語っていただきました。パネルディスカッション後半には、フロアから都築晶子委員(龍谷大学名誉教授)、豊見山和行委員(琉球大学名誉教授)、上里賢一委員(琉球大学名誉教授)からもコメントが寄せられました。

 また、シンポジウム終了後、数多く寄せられた参加者からのアンケートからは、「県民の財産である『歴代宝案』の内容の奥深さ、面白さについて学ぶことができ、琉球史に対する理解がとても深まった」「小国であった琉球が外交で知恵を絞り、粘り強く交渉してきた歴史を知り、とても誇りに思った」「若い世代にもこのような歴史を知ってもらいたい」などの声が寄せられました。

基調講演を行う濱下武志委員(第一部)
右から渡辺美季委員、赤嶺守委員、西里喜行委員
(第二部パネルディスカッション)
右から金城正篤委員、濱下武志委員、田名真之委員
(第二部パネルディスカッション)
会場の様子(第二部パネルディスカッション)

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