2-173-07　国王尚育の、接貢のため存留通事毛有増等に付した執照（道光二十一《一八四一》、八、二）
琉球国中山王尚（育）、勅書を恭迎し、併びに使臣を接回する事の為にす。
案照するに、本爵は道光二十年秋に耳目官向国鼎・正議大夫林常裕等を遣わし、表章・方物を齎捧して天朝に入貢せしむ。業経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き聖禧を叩祝せしめて案に在り。
茲に還国の期に当たり、例として応に船を撥りて接回すべし。此れが為に特に都通事鄭国宝等を遣わし、梢役共に八十九員名を帯領して海船一隻に坐駕し、前みて福建に至りて皇上の勅書・欽賞の幣帛を恭迎し、併びに京より回る使臣向国鼎・林常裕・梁学孔を接え、在閩の存留通事毛鳳彩等と与に還国せしめんとす。
但だ差わす所の員役は、文憑無ければ以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に王府、礼字第二百七十九号の半印勘合の執照一道を給発して存留通事毛有増等に付し、収執して前去せしむ。凡そ遇う所の関津及び沿海巡哨の官軍は、験実して即便に放行し、留難して阻滞するを得る毋からしめよ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
在船都通事一員　鄭国宝 人伴四名
在船使者二員　　毛士英／武邦彦 人伴八名
存留通事一員　　毛有増 人伴六名
管船夥長・直庫二名　金緒栄　光開基
水梢共に六十五名
右の執照は存留通事毛有増等に付し、此れを准けしむ
道光二十一年（一八四一）八月初二日

注（1）表章　表は〔一七一―○一〕〔一七一―○二〕〔一七一―○三〕、章（奏）は〔一七一―○四〕〔一七一―○五〕〔一七一―○六〕〔一七一―○七〕。
（2）此　校訂本にはないが、他の執照等を参照して補った。
（3）毛有増　久米系毛氏。国吉親雲上、のち垣花親方。道光二十一年（一八四一）の存留通事、同三十年の正議大夫。道光元年異国通事を務め、咸豊三年（一八五三）、五年には異国船来島の際、地方官と称して対応にあたっている（『家譜（二）』九四六頁）。
（4）金緒栄　道光二十一年の管船夥長。手登根里之子親雲上（林世禄の譜、『家譜（二）』八七〇頁）。『宝案』では咸豊八年（一八五八）の在船通事として名がみえる。