2-122-08　国王尚灝の、中国の難民朱沛三等の護送のため都通事鄭世謨等に付した執照（嘉慶二十二《一八一七》、三、七）
琉球国中山王尚（灝）、護照を給発し以て関津に憑きて以て難人を送らんが事の為にす。
照得したるに、嘉慶二十一年十一月初七日、直隷省天津府天津県の商民朱沛三等、共に二十名は、船一隻に駕し、遼東に到りて以て貿易を為さんことを要む。江南省上海に到らんとするの時、洋中陡かに大風に遇い、本国属地の粟国島に飄入す。初九夜に礁に衝りて破船す。随いで該地方官、救養し、護送して国に到る。業経に館に発りて安挿し、例に照らして廩餼・衣服等の項を給与し、部文内の奉旨の事理に欽遵して収養して解送す。
茲に特に都通事鄭世謨等を遣わし、海船一隻に坐駕し、梢役共に六十五員名を率領し、難人朱沛三等二十名を護送して前みて閩省に至らしむ。
所有の差去せる員役は、文憑無ければ、以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に王府、礼字第二百十五号の半印勘合の執照一道を給発し、都通事鄭世謨等に附し、収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して遅滞するを得る毋からしめよ。須らく執照に至るべき者なり。
計開、難商の名数
舵工　朱沛三　水梢　于永旺　薄儀門
孫茂徳　朱云発　王忠
楊有信　李可発　鄭允中
趙　興　王起　唐玉
元　滌　張文奎　王廷弼
元毓禎　賈旺
客人　許端書　朱万青　周徳才
以上、通船共計二十名
護送都通事一員　鄭世謨　人伴四名
司養贍大使一員　蔡謨　人伴四名
管船夥長・直庫二名　魏元正　柳永安
水梢共に五十三名
右、執照は都通事鄭世謨等に附し、此れを准けしむ
嘉慶二十二年（一八一七）三月初七日　給す

注（1）蔡謨　瀬名波里之子親雲上（『家譜（二）』蔡景福の譜、三三一頁）。嘉慶二十二年の護送船の司養贍大使。『宝案』では道光五年の進貢船の在船使者（巻一四〇）として名がみえる。