2-111-04　国王尚灝の、接貢のため存留通事梁光地等に付した執照（嘉慶十六《一八一一》、八、八）
琉球国中山王尚（灝）、勅書を恭迎し併びに使臣を接回せんが事の為にす。
照得したるに、本爵は業に嘉慶十五年の秋に耳目官向国柱、正議大夫蔡肇業等を遣わし、表章・方物を齎捧して天朝に入貢す。本爵、経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き、聖禧を叩祝せしめて案に在り。
茲に還国の期に当たり、例として応に船を撥りて接回すべし。此れが為に特に都通事蔡次九等を遣わし、梢役共に八十九員名を帯領し、海船一隻に坐駕せしめ、前みて福建に至りて、皇上の勅書及び欽賞の幣帛を恭迎し、併びに京回の使臣向国柱・蔡肇業・鄭克新と在閩の存留通事毛超叙等を接えて還国せしめんとす。
但だ差わす所の員役は、文憑無ければ、以て各処官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に王府、礼字第二百号の半印勘合の執照一道を給発し、存留通事梁光地等に付し、収執して前去せしむ。凡そ所の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して阻滞するを得る毋からしめよ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
在船都通事一員　蔡次九　跟伴四名
在船使者二員　　向元瑚　馬国柱　跟伴八名
存留通事一員　　梁光地　跟伴六名
管船夥長・直庫　二名　楊徳□　玉成器
水梢共に六十五名
右、執照は存留通事梁光地等に付し、此れを准けしむ
嘉慶十六年（一八一一）八月初八日

注（1）梁光地　乾隆三十三～道光十七年（一七六八～一八三七）。久米系（上江洲家）十三世。當間親雲上。嘉慶二十一年（一八一六）、長史、道光二年（一八二二）、正議大夫、七年紫金大夫となる。嘉慶十六年接貢の存留通事、二十三年朝京都通事、道光四年進貢の正議大夫として中国に渡る。同八年、兼城間切武富地頭職に任ぜられる（『家譜（二）』七九四頁）。
（2）向元瑚　平敷親雲上（『家譜（二）』梁光地の譜、七九五頁）。『宝案』では嘉慶十六年の在船使者、道光十六年の結状に郷耆老として記名がある（巻一六三）。
（3）馬国柱　嘉慶十六年の在船使者。
（4）楊徳□　嘉慶十六年の管船夥長。
（5）玉成器　嘉慶十六年の管船直庫。