2-46-36　国王尚穆の、接貢のため都通事紅秉毅等を派遣するむねの執照（乾隆二十八《一七六三》）
琉球国中山王尚（穆）、進貢の官員を接回する事の為にす。
照得するに、乾隆二十七年冬、業に耳目官馬国器・正議大夫梁煌等を遣わし、表章・方物を齎捧し、官伴・水梢を率領し、船二隻に駕して閩に来たる。已経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して、京に赴きて聖禧を叩祝す、等の因、案に在り。今、旧例に遵い、特に都通事紅秉毅等を遣わし、官伴・水梢共に八十二員名を率領し、海船一隻に坐駕し、福建に前来して、皇上の勅書並びに欽賜の物件、及び京より回るの貢使馬国器・梁煌、存留通事蔡永胤等を恭接す。
所有の差去せる員役は、文憑無ければ、各処の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此れが為に理として合に執照を給発すべし。
今、王府、礼字第八十五号の半印勘合の執照を給し、存留通事蔡懿等に付して収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海の巡哨の官軍の験実に遇えば、即便に放行して留難して阻滞するを得る毋かれ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
在船都通事一員　紅秉毅 人伴四名
在船使者二員 　　呉永隆／翁彦愽 人伴八名
存留通事一員　　蔡懿 人伴六名
管船火長・直庫二名　金策　馬長謀
水梢共に五十八名
右の執照は、存留通事蔡懿等に付し、此れを准ず
乾隆二十八年　給す

注（１）（３）秉　校訂本は「乗」だが〔四七―〇七〕により「秉」とした。
（２）蔡懿　康煕五十五～乾隆四十（一七一六～七五）。久米系蔡氏（儀間家）十四世。儀間親雲上。乾隆二十八年存留通事、三十五年在船都通事、三十九年正議大夫として中国に渡る。四十年、進貢の帰途、福州で没した（『家譜（二）』二六六頁）。
（４）翁彦愽　『宝案』では他に乾隆三十三年の在船使者としても名がみえる。
（５）金策　濱元親雲上。『宝案』では他に乾隆四十一年、四十七年の朝京都通事として名がみえる。
（６）馬長謀　『宝案』では他に乾隆三十二年にも直庫として名がみえる。