2-34-08　世子尚穆の、接貢のため都通事金安等を派遣するむねの執照（乾隆十八《一七五三》、十、十）
琉球国中山王世子尚（穆）、進貢の官員を接回する事の為にす。
照得するに、乾隆十七年冬、特に耳目官向邦鼎・正議大夫楊大壮等を遣わし、表文・方物を齎捧し、官伴・水梢を率領し、船二隻に駕して来閩す。已に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き、聖禧を叩祝せんとす、等の因、案に在り。
今、旧例に遵い、特に都通事金安等を遣わし、官伴・水梢共に八十九員名を率領し、海船一隻に坐駕して福建に前来し、勅書併びに欽賜の物件及び京より回る貢使向邦鼎・楊大壮、存留官曽璜等を恭接するの外、難人崔長順等共に二十三名を附搭して解送して前来す。所拠の差去せる員役は、並えて文憑無ければ、誠に所在の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此れが為に理として合に執照を給発し、以て通行するに便ならしむべし。
今、王府、礼字第六十四号の半印勘合の執照を給し、存留通事魏開業等に附して収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海の巡哨の官軍の験実に遇えば、即便に放行して留難して遅悞するを得る毋かれ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
都通事一員　　金安 　跟伴四名
使者二員　　　翁国村／童能栄　 　跟伴八名
存留通事一員　魏開業 　跟伴六名
管船夥長・直庫二名　　楊文煥　陳得安
水梢共に六十五名
右の執照は、存留通事魏開業等に附し、此れを准ず
乾隆十八年十月初十日

注（１）魏開業　高嶺里之子親雲上（阮廷宝の譜、 （『家譜（二）』一八〇頁）。乾隆十六年には久米村明倫堂の講談師匠である講解師を勤めていた（梁煌の譜、『家譜（二）』七九三頁）。『宝案』では他に乾隆二十三年の在船都通事として名がみえる。
（２）楊文煥　名嘉地通事親雲上（鄭文亀の譜、『家譜（二）』六一五頁）。