2-24-30　国王尚敬の、接貢のため存留通事梁煌等に付した執照（乾隆六《一七四一》、十一、四）
琉球国中山王尚（敬）、謝恩・進貢の官員を接回する事の為にす。
照得するに、乾隆五年冬、特に紫巾官翁鴻業・正議大夫蔡其棟等を遣わし、表文・方物を齎捧し、官伴・水梢を率領し、船二隻に駕して閩に来たる。已経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き、聖禧を叩祝せんとす、等の因ありて案に在り。今、旧例に遵い、特に都通事鄭士綽等を遣わし、官伴・水梢共に八十一員名を率領し、海船一隻に坐駕し、福建に前来す。恭しく勅書併びに欽賜の物件、及び京より回る貢使翁鴻業・蔡其棟、存留官蔡元鳳等を接えるの外、附搭の難人王同興等共に二十一名を解送して前来す。
所拠の差去せる員役は、並えて文憑無ければ、誠に所在の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此れが為に理として合に執照を給発し、以て通行に便ならしむべし。今、王府、礼字第三十九号の半印勘合執照を給し、存留通事梁煌等に付して収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海の巡哨官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して遅悞するを得る毋かれ。須らく執照に至るべき者なり。
計開す
都通事一員　　　鄭士綽　　　　跟伴四名
使者二員　　 東宗仁／銭順巽　　　　　跟伴八名
存留通事一員　　梁煌　　　　　跟伴六名
管船夥長・直庫二員　林邦哲　馬利国
水梢共に五十七名
右の執照は存留通事梁煌等に付し、此れを准ず
乾隆六年（一七四一）十一月初四日　給す

注（1）梁煌　康熙四十一～乾隆三十六年（一七〇二～七一）。久米村系梁氏十一世（上江洲家）。當間親雲上。乾隆十七年に正議大夫に陞る。雍正七年に読書習礼のため福建に渡る。乾隆六年の接貢の存留通事、十三年の朝京都通事。二十年の冊封の時に天使館並びに脇宿当役、さらに理宴司を兼務し、二十二年にその功績が認められて申口座に陞る。二十七年の進貢の正議大夫となる（『家譜（二）』七九二頁）。
（2）東宗仁　乾隆六年の使者。
（3）銭順巽　乾隆六年の使者。
（4）林邦哲　新垣通事親雲上（『家譜（二）』七一九頁、毛維楨の譜）。乾隆六年の管船夥長。『宝案』では他に乾隆二十三年の存留通事（巻四二）、三十四年の都通事（巻五二）として名がみえる。