2-11-21　国王尚敬の、赴京の使臣の接回のため都通事楊宗易等を遣わすむねの執照（一七二一、一〇、一〇）
琉球国中山王尚（敬）、進貢の官員を接回する事の為にす。
切照するに、康煕五十九年冬、特に耳目官毛廷輔・正議大夫梁得宗・都通事毛世安等を遣わし、海船二隻に坐駕して表文・方物を齎捧し、已経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き、恭しく五十九年の貢典を進めしむ。進京の官伴及び存留の官伴を除き、其の余の両船の摘回の員役、都通事魏鳳・金震、使者向弘烈・翁能寛等は、仍お原船二隻に坐し、本年六月の間に于て方に帰国するを見る。但だ入覲の官伴及び存留の官伴は、向例として該国船を発して接回す。久しく閩の地に淹りて以て天朝の廩餼を糜すに到らず。此の為に特に都通事楊宗易・使者向克従等を遣わして、海船一隻に坐駕し、水梢・人伴共に八十員名を率領して福建に前来し、皇上の勅書併びに欽賞の物件を迎接し、京より回る貢使毛廷輔等と同に一斉に国に回らしめんとす。
茲に所拠の差去する員役は別に文憑無ければ、誠に所在の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此の為に王府、今、義字第一百一十五号半印勘合の執照を給して存留通事梁鼎に付し収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば即便に放行し、留難し遅悞して便ならざるを得しむる毋かれ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
都通事　一員　楊宗易　　　　人伴四名
使者　二員　向克従　向世泰　人伴八名
存留通事　一員　梁鼎　　　　人伴六名
管船夥長・直庫　二名　　李良翰　金城
水梢共に五十一名
右の執照は存留通事梁鼎等に付す。此れを准ず
康煕六十年（一七二一）十月十日

注（1）梁鼎　一六九三-一七三九年。久米村呉江梁氏（饒波家）十世。饒波親雲上。中議大夫（『家譜（二）』七八一頁）。