2-07-16　世曾孫尚敬の、赴京の使臣の接回のため都通事鄭士絢等を遣わすむねの執照（一七一五、一一、一一）
琉球国中山王世曾孫尚（敬）、進貢の官員を接回する事の為にす。
切照するに、康煕五十三年冬、特に耳目官馬献功・正議大夫阮璋・都通事梁得宗等を遣わして、海船二隻に坐駕し、表章・方物を齎捧せしむ。已経に福建等処承宣布政使司に移咨し、投納し起送して京に赴き聖禧を叩祝す。進京の官伴及び存留の官伴を除き、其の余の員役は仍お原船に坐し、本年七月の間に于て方に帰国するを見る。但だ入覲の官伴及び存留の官伴は旧例に遵依して、該国、船を撥して接回す。久しく閩の地に淹りて以て天朝の廩餼を糜すに至らず。此の為に特に都通事鄭士絢・使者東永昌等を遣わし、船一隻を駕して水梢共に八十三員名を率領して、福建に前来し、皇上の勅書併びに欽賜の物件を迎接し、京より回る貢使馬献功等と同に一斉に国に回らしめんとす。又、便に順いて漂海の人口九名を附搭し解送して閩に来らしむ。
所拠の差去する員役は並びに文憑無ければ、誠に所在の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此の為に王府の義字第一百号半印勘合の執照もて存留通事毛士達等に付し収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば即便に放行し、留難し遅悞して便ならざるを得しむる毋かれ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
都通事一員　鄭士絢　　　　人伴四名
使者二員　東永昌・斉彦士　人伴八名
存留通事一員　毛士達　　　人伴五名
管船火長・直庫二名　梁堅・長立功
水梢共に六十名
右の執照は存留通事毛士達等に付す。此れを准ず
康煕五十四年（一七一五）十一月十一日

注（1）解送　校訂本は不明字。「解送」とみなして読み下す。
（2）梁堅　一六九七-一七一九年。久米村呉江梁氏（亀嶋家）十世。国吉通事（『家譜（二）』七七〇頁）。