2-06-12　世曾孫尚敬の、進貢のため耳目官毛九経等を遣わすむねの符文（一七一二、□、□）
琉球国中山王世曾孫尚（敬）、進貢の事の為にす。
切照するに、敝国は世々天眷の隆に沐し、貢典に遵依して二年一次なり。茲に康煕五十一年、乃ち当に進貢すべきの期なり。特に耳目官毛九経・正議大夫蔡灼・都通事阮瓉等を遣わし、表・咨を齎捧し、海船二隻に坐駕して官伴・水梢共に一百九十五員名を率領せしむる外、報喪使の正議大夫楊聯桂一員・跟伴九名を附搭す。毎船に均幇する上下の員役は以上共に計二百零五員名なり。常貢の煎熟硫黄一万二千六百觔・紅銅三千觔・煉熟白剛錫一千觔を装運して両船に分載す。一船は義字第九十四号にして煎熟硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・煉熟白剛錫五百觔を装載し、一船は義字第九十五号にして煎熟硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・煉熟白剛錫五百觔を装載し、前んで福建等処承宣布政使司に至りて投納し、起送して京に赴き聖禧を叩祝せんとす。
所拠の差去する員役は文憑無ければ、各処の官軍の阻留するを恐る。此の為に理として合に符文を給発して以て通行に便ならしむべし。今、王府の義字第九十三号半印勘合の符文を給して都通事阮瓉等に付し収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば即便に放行し、留難し遅悞して便ならざるを得しむる毋かれ。須らく符文に至るべき者なり。
計開　　京に赴く
耳目官一員　毛九経　人伴一十二名
正議大夫一員　蔡灼　人伴一十二名
正議大夫一員　楊聯桂　人伴九名
都通事一員　阮瓉　人伴七名
在船都通事二員　孫廷璽／阮璋　人伴八名
在船使者四員　毛天枢　斉彦士／東国佐　益子義　人伴一十六名
存留通事一員　金震　人伴六名
在船通事一員　楊宗礼　人伴四名
管船火長・直庫四名　鄭国楨　与那嶺／毛日盛　仲宗根
右の符文は都通事阮瓉等に付す。此れを准ず
康煕五十一年（一七一二）　月　日給す

注＊康煕五十一年の進貢は、表文〔〇六-〇八〕、礼部あての咨〔〇六-〇九〕、福建布政司あての咨〔〇六-一〇〕〔〇六-一一〕の日付はいずれも康煕五十一年十一月初六日であるが、本文書（符文）および執照〔〇六-一三〕〔〇六-一四〕は日付を欠く。本文書中の蔡灼・阮瓉・孫廷璽・阮璋の家譜（『家譜（二）』二七七・一五九・四一八・一五八頁）は、二隻の進貢船は康煕五十二年二月十二日に那覇を開船し、馬歯山（慶良間諸島の島）で風を待って十八日に島を発ったとする。出発が翌年になったことについて蔡灼の家譜は「因御銀不来、俟至翌年正月御銀下来」と記す。
（1）東国佐　〔〇六-一四〕〔〇六-二〇〕では東国祚とする。