1-27-19　国王尚貞の、進貢のため耳目官毛天相等を遣わす符文（一六九六、一〇、二〇）
琉球国中山王尚（貞）、進貢の事の為にす。
切に照らすに敝国は世々天朝の洪恩に沐し、貢典の二年一次に遵依す。茲に康煕三十五年（一六九六）の貢の期に当り、特に耳目官毛天相・正議大夫鄭弘良・都通事程順則等を遣わし、表・咨を齎捧して海船二隻に坐駕し、官伴・水梢を率領せしむ。毎船に均幇する上下の員役は共に二百員名を過ぎず。常貢の煎熟硫黄一万二千六百斤・紅銅三千斤・煉熟白剛錫一千斤等の方物を装運し、両船に分載す。一船義字第六十一号は煎熟硫黄六千三百斤・紅銅一千五百斤・煉熟白剛錫五百斤を装載し、一船義字第六十二号は煎熟硫黄六千三百斤・紅銅一千五百斤・煉熟白剛錫五百斤を装載す。福建等処承宣布政使司に前至して投納し、起送して京に赴き聖禧を叩祝せしむ。
所拠りて差去する員役は、並びに文憑無くば誠に所在の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此の為に王府、今、義字第六十号半印勘合符文を給して都通事程順則等に付し、収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば、即便に放行し、留難し遅悞するを得しむる毋れ。須らく符文に至るべき者なり。
計開　　赴京の
耳目官一員　毛天相　人伴一十三名
正議大夫一員　鄭弘良　人伴一十三名
都通事一員　程順則　人伴六名
在船都通事二員　蔡肇功　金世銘　人伴八名
在船使者四員　翁自道　武国柱　孫世禄　明啓賢　人伴一十六名
存留通事一員　楊聯桂　人伴六名
在船通事一員　阮維徳　人伴四名
管船火長・直庫四名　蔡克昌　毛日新　丙起才　松永茂
右の符文は都通事程順則等に付し、此れに准ぜしむ
康煕三十五年（一六九六）十月二十日

注＊この進貢については『清実録』康煕三十六年九月己丑の条に記事がある。