〈資料紹介〉
　　　　田里筑登之親雲上渡唐準備日記（一）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渡名喜明

　ここに紹介するのは、一八五〇年、清国咸豊帝の登極慶駕のため王命を受けて渡清した王舅夏超群、正議大夫毛有増等の随行員北京大筆者田里筑登之親雲上兼賢が、拝命してから乗船するまでの一連の動きを記した文書の前半である。記述は二月一日の拝命に始まり、諸祈願、鉄砲稽古、誓詞、「御茶飯」、上表渡、御銀渡、積荷、そして九月の乗船に至る経過が日を追って描かれており、異国船が近海に出没して通商を要求し、一方で財政危機が深刻化するという状況下での王府や渡唐人数の動勢が浮き彫りにされる。本文書は一九五八年に県立博物館（当時は琉球政府立博物館）が購入したもので、経二六・五㎝、横二〇・〇㎝で、紙数一一〇枚、楮紙で袋綴となっている。後半は昭和五九年度紀要で紹介したい。なお田里筑登之親雲上については「詹姓家譜」（『那覇市史』第一巻七「家譜資料（三）首里系」所収）を参照されたい。

道光三拾年〈庚戌〉

　　　二月朔日
　　　　言上写
請当秋渡唐北京大筆者
　　　　　　　　　　　　　　　　〈御物奉行筆者〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
　以上
〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈御評定所筆者〉
　　二月朔日　　　　　　　　　　　　久志里之子親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　〈同〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　真栄城里之子親雲上

一　右ニ付而者早速摂政三司官衆御物奉行申口衆江御礼申上夫より唐船御使者衆始渡唐役者中御一同御書院御近習聞得大君御殿参上美拝申上直ニ摂政三司官衆御宅参上御礼申上候先例ニ而候□当分引入ニ付忌晴候間者役者中ニ而美拝方御懸之方ニ宜致取計□□相頼させ候事

　　　二月二日
一　大唐船小唐船々頭佐事定加子□罷出今日勢頭御宅江同伴ニ而参上私取次を以御祝儀申上候得者於本座私相伴ニ而盃肴吸物一ツ茶菓子御馳走有之候先例之段申聞候付当分引入ニ付而者脇筆者真栄城里之子親雲上御頼させ候事
　　　附於私宅茂茶菓子之馳走候也
　　　　　　　　　
　　　二月四日
一　御請之日柄者通書役江書出させ存留□被差出候得者私より勢頭御案内之上年頭御使者与力江差出候先例ニ而候処当分引入ニ付而者右一件都而北京大通事御頼させ候事

　　　同七日
一　脇筆者より左之通触有之候事
　　来十二日御請之日柄相済候間同日四ツ時分登　城被致候様渡唐役者中江御通達可被成候以上
　　　附御当病之方ハ兼而御評定所江御申出可被成候
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　〈垣花親方与力〉
　　　二月六日　　　　　　　　　　　川平里之子親雲上
　　〈摩文仁親雲上〉
　　　与力
　　右之通有之候間当日五ツ時分摩文仁親雲上宅江御揃被成候様首里久米村役者中江御通達可被成候以上
　　〈戌〉
　　　二月六日　　　　　　　　　　　兼城里之子親雲上
　　〈才府〉
　　　真栄平親雲上
　　〈同〉
　　　吉田里之子親雲上
　　右之通相済候間同役者中並小唐船方久米村役者ニも通達可被致候以上
　　〈戌〉
　　　二月六日　　　　　　　　　　　真栄平親雲上
　　〈脇筆者〉
　　　真栄城里之子親雲上
　　右之通有之候間此段致御通達候尤次触ニ而本紙之末より可被差帰候以上
　　　附久米村役名中□□□□□那覇脇筆者ニ而可被致通達候
　　〈戌〉
　　　二月七日　　　　　　　　　　　真栄城里之子親雲上
　　〈才府〉
　　　吉田里之子親雲上
　　〈官舎〉
　　　城田親雲上
　　〈同〉
　　　譜久山里之子親雲上
　　〈大筆者〉
　　　羽地里之子親雲上
　　〈同〉
　　　久志里之子親雲上
　　〈北京大筆者〉
　　　田里筑登之親雲上
　　〈脇筆者〉
　　　比嘉筑登之親雲上

　　　二月八日
一　昨日より忌晴候付今日大夫儀者山里親雲上一同御書院参上当御取次美拝申上御近習江参上御近習御取次
佐敷按司加那志様
野嵩按司加那志様江美拝申上退
　　城直ニ聞得大君御殿参上大親御取次美拝申上摂政三司官衆御宅参上〈（朱書後補）〉（御礼申上左候而勢頭御宅診上）御祝儀申上致帰宅候事

　　　同十二日
一　御請ニ付五ツ時分色衣着ニ而才府吉田里之子親雲上宅江罷出首里久米村役者中相揃一同四ツ頭時分登　城於西之御殿日帳主取衆御取次御請被申上相済直那覇江罷下御物城田半親雲上宅江□□□御物城問役同伴ニ而年頭御使者垣花親方御一同御奉行様並嶋津登様御宿参上御届相済定式産物方御役者衆江者名札を以御届申上大夫有銘親雲上宅ニ而御茶御菓子吸物壱ツ御馳走有之済而八ツ時分致帰宅候事
　　　附
一　御在番所並嶋津登様江之口上書且役者中名面書者兼而勢頭御□□□取調させ調部方仕候尤御役者衆江之名礼者自分ニ而左之通相調候也
　　〈北京大筆者〉　　　　〈北京大筆者〉
　　　　田里筑豊之親雲上　　　田里筑登之親雲上
　　　　〈但産物方御目附衆江〉　〈但定式産物方御役々衆江〉
一　御請ニ付而者役者中勢頭御宅江相揃可申之処当分御引入ニ付御請も後日被成御勤候故本文通才府宅江相揃候也
一　加籠ハ下之鳥井江相揃候也
一　役者中致参上候先例ニ而私江も大唐船官舎譜久山里之子親雲上より挨拶有之候得共差支之訳有之致御暇乞候也
〈（朱書後補）〉
一　持参之昼めしハ大夫宅ニ而相喰候也
一　左之通聯押家中相祝候事
　〈（楷書）〉
　　　順風相送仙舟穏
〈本門〉
　　　一路平安旅客歓
　　　順風開海路
〈玄関〉
　　　喜気繞園門
一　御賦銀飯米左之通受取書相調給地方江差出掛印申請給地御蔵より相受取候事
　　附銀子代壱匁ニ付七貫五百文ニ而候也
　　　請取
一　銭六千七百五拾貫文
　　　銀子ニして九百目
一　粟九石先
　　右□当秋渡唐ニ付御賦銀飯米として慥ニ□行御座候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　　　〈北京大筆者〉
　　　二月十二日　　　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
　　　給地御蔵

　　　同十七日
一　那覇脇筆者より左之通触有之候事
　　明後十九日大唐船々頭御相談仕候間同日四ツ時分当座江御揃被成候□役者中江御通達可被致以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　　　〈御船手奉行〉
　　　二月十七日　　　　　　　　　　　　　　田場筑登之親雲上
　　〈大唐船大通事〉
　　　屋富祖親雲上
　　右通有之候間首里役者中江御通達可被致候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　　　〈大通事〉
　　　二月十七日　　　　　　　　　　　　　　屋富祖親雲上
　　〈右之通有之候間此段御通達仕候以上〉
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　　　〈脇筆者〉
　　　二月十七日　　　　　　　　　　　　　　比嘉筑登之親雲上
　　〈才府〉
　　　吉田筑登之親雲上
　　〈官舎〉
　　　譜久山里之子親雲上
　　〈大筆者〉
　　　久志里之子親雲上
　　〈北京大筆者〉
　　　田里筑登之親雲上
　　〈勢頭与力〉
　　　兼城里之子親雲上
一　右同断触有之候事
　　明後十九日大唐船々頭御相談之筋先刻致御問合置候処仲田親方より御奉行様ニ御扣請ニ付高奉行仲田里之子親雲上御揃難被成候間日柄□□候様御問合之趣有之来廿一日日柄相究置候間同日四ツ時分当座江御揃可被成候右之段者役者中江茂御通達可被致候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈御船手奉行〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　田場筑登之親雲上
　　〈大唐船大通事〉
　　　屋富祖親雲上
　　右之通有之候間首里役者中江茂御通達可被成候以上
　　〈戌〉
　　　二月十七日　　　　　　　　　　　　　　　屋富祖親雲上
　　〈脇筆者〉
　　　比嘉筑登之観雲上
　　右通有之候間此段御通達仕候尤次触ニ而差通本紙者末より可被差帰候以上
　　〈戊〉　　　　　　　　　　　　　　　　〈脇筆者〉
　　　二月十□日　　　　　　　　　　　　　　　比嘉筑登之親雲上
　　〈大唐船首里〉
　　　役者中

　　　同廿一日
一　両唐船々頭代合ニ付相談仕候間御船手江相揃候様兼而触有之候付□□時分御船手江罷出遂相談罷帰候事

　　　同廿六日
一　大唐船々頭与那嶺筑登之親雲上小唐船々頭金城筑登之親雲上江今日被仰付候段首尾承届候事
一　北京宰領人弐人之内壱人者北京大通事方壱人者此方より人躰相調部おかす差出候先例ニ付願人之内見合去九月大通事牧志里之子親雲上宅ニ而相談之上相片付置候付左之通訴並おかす書相調勢頭大夫御案内御評定所唐船□江差出候也
　　〈（後補）〉
　　本文二月廿八日相済候尤勢頭者御引入ニ付明御印ニ而差出候也

　　　〈御印〉覚〈印〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈泉崎村次男〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　友寄筑登之
　　右者北京宰領之儀御用物買調方又者北京往還段々之御用向取扱仕且伴送官並河口通事人躰次第応分差発駅々之下程取掠候企共有之処色々事六ケ敷儀共申懸候ハヽ即々取捌仕殊更於北京御薬種買入方之砌公館携之役人共店々之者共より懸号可取入所巧有之位之調部方代下ケ等之相談存之儘不相達密々□出漸々下京渥迄相懸り買求候振合之由右ニ付而者宰領人共人躰相応之者見合不申候而不叶事御座候処右友寄筑登之官生真玉橋里之子親雲上従内ニ而上京長々滞在官話能相嗜北京又者駅々之様子にも委ク存居候上去午年北京宰頭足相勤御薬種類□等見様等旁取馴宜段承今般宰領ニ而列登申度御座候処遠所往還至而難儀之上裳束等茂不容易殊ニ繰合方ニ付而茂不自由相成候由ニ而別而相厭居申候然者右宰領之儀大粧成御用相携候付道楚右友寄列登精々引励勤向全相弁申度候趣□件之次第別段之御取分を以何卒首尾克帰帆仕候ハゝ其功労御取持被仰付被下度奉頼候此等之趣何分ニ茂宜様御取成可被下儀奉頼候以上
　　〈戌〉
　　　二月　　　　　　　　　　　　　　　　〈北京大筆者〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈同大通事〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　牧志里之子親雲上

　　右申出之通宰領之儀段々之御用向相携候付諸事取馴候者列登不申候而者不叶事御座候間右之次第別段之御取分を以何卒申出之通御取持被仰付被下度奉存候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　　　　〈大夫〉
　　　二月　　　　　　　　　　　　　　　　　　名城親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈勢頭〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　摩文仁親雲上
　　〈（後補）〉
　　本文右同段

　　〈御印〉覚〈印〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈泉崎村次男〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　友寄筑豊之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈渡地村〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　国吉筑登之
　　右者当秋渡唐北京宰領被仰付可被下候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　　　　〈北京大筆者〉
　　　二月　　　　　　　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈同大通事〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　牧志里之子親雲上
　　右之通被仰付被下度奉存候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　　　　〈大夫〉
　　　二月　　　　　　　　　　　　　　　　　　名城親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈勢頭〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　摩文仁親雲上
一　那覇脇筆者より左之通触有之候事
　　　覚
一　旅御拝
一　菩薩御たかへ
一　順礼
一　鉄砲稽古
　　右五月中
一　三平等之御立願
一　誓詞
一　菩薩御乗船
一　御茶飯
　　右六月中
一　上表渡
一　御銀渡
一　太荷改
一　乗船
　　右七月中
　　右月賦之通被仰付被下度奉存候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　　　　　〈大唐船小唐船〉
　　　二月　　　　　　　　　　　　　　　　　　　役者中
　　〈（後補）〉
　　本文申出之通被仰付候間随分差急候様出精可被存候以上
　　〈戌〉
　　　二月廿六日　　　　　　　　　　　　　　　　兼城親雲上
　　　覚
一　五月朔日より大宿詰仕候様
一　同十日限諸座諸御蔵御調文並諸士御免銀注文代銀共相届候様
一　同十五日限官府物相届候様
　　右通被仰付被下度奉存候自然届方遅相成候而者諸手当差支候間無間違様向々江厳重被仰渡可被下候以上
　　〈戌〉
　　　二月　　　　　　　　　　　　　　　　　　　役者中
　　右之通被仰付候間此段致通達候尤次触ニ而本紙者末より可被差帰候以上
　　〈戌〉
　　　二月廿七日　　　　　　　　　　　　　　　　比嘉筑登之親雲上
　　〈北京大筆者〉
　　　田里筑登之親雲上
　　〈（後補）〉
　　本文申出之通被仰付向々江被仰渡候間被得其意自然官付物入者諸座諸蔵御注文届方及相違候ハゝ即々可申出候尤諸士免脇銀及相違差出候方ハ可被差帰候以上
　　〈戌〉
　　　二月廿六日　　　　　　　　　　　　　　　　兼城親雲上

　　　同廿八日
一　北京宰領友寄筑登之当時引入ニ付而者諸事差支候儀共有之候付北京大通事相談之上勢頭大夫御案内を以致忌御免候事

　　　三月三日
一　今日於勢遣富松尾相慰候旧例之段兼而大唐役者より知せ有之候付四ツ頭時分綾色袷衣裳𧙥衣袴細帯ニ而提物提候而勢頭御宅江参上役者中相揃御一同加籠より本道罷通於勢遣富松尾大唐船方江者勢頭御持参之提重相開キ小唐船方ニ者才府持参之重ニ而銘々取替之半五主共旅歌三味線三節諷済而直ニ那覇江差越翌日迄相慰候事
　　　　　附
　　一　持参物左之通先達而勢遣富松尾江相持五主方江引渡させ候也
　　一　才府官舎八寸重壱組焼酎壱済ツゝ大筆者以下勢頭与力迄七寸重壱組焼酎壱済ツヽ致持参候也
　　一　勢頭御始役者中勢頭与力道替衣裳として色懸之単衣致持参於去方致着替候也
　　一　翌日右之人数色懸之単衣白下着ニ而五主相烈先例之通浜江罷出候也
　　一　於勢遣富松尾座構並茶湯且去方ニ而之惣取計者都而五主方構ニ而候也
　　　　　七寸重壱組
　　　　いりこ〈黄粉付〉　　　　焼しゝ
　　　　桜たい　　　　　　　　　染やくかい
　　　　てんぷらたい　　　　　　染木の子
　　　　花いか　　　　　　　　　あけしゝす
　　　　貫花生　　　　　　　　　□半弁
　　　　竹の子　　　　　　　　　蓑田楽
　　　　色付高麗餅　　　　　　　□めし
　　　　　焼酎壱瓶壱済

　　　　同四日
一　大唐船々頭金城筑登之親雲上昨晩相果候段首尾承届候事
一　那覇脇筆者より左之触有之候事
　　昨日より昆布渡被仰付候間其手当ニ而卯時限昆布座江罷出可被請取候此段致御通達候以上
　　　三月八日　　　　　　　　　　　　　　　　　産物方御用賦
　　〈進貢船〉
　　　役者中
　　右之通有之候間此段致御通達候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈脇筆者〉
　　　三月八日　　　　　　　　　　　　　　　　　比嘉筑登之組雲上
　　〈（後補）〉
　　宰領江も可被相達候
　　〈北京大筆者〉
　　　田里筑登之親雲上

　　　　同九日
一　今日昆布渡ニ付早天昆布座江罷出候様那覇脇筆者より通達有之候付先例之通宰領並従之者共差出大宿役者相合請取させ候事
　　　附大宿役者江左之通證文差出候也
　　　　證文
　　私共申請昆布代銭之儀産物方より被仰渡候通当六月十五日限堅固上納可仕候尤昆布之儀者申請候儘我々相封ニ而囲置若組合之内代銭限通不相調躰相見得候ハヽ上納日限前以囲置候昆布又者船間迄もいつれも引請を以売払聊限不及相違様上納可仕候乍此上及不納候ハヽ組合人数積入候昆布船間より□当高之分者直ニ御引取可被成候其時一言も口能申上間敷候為後證如斯御座候以上
　　　附船間売払候方者組合人数引請之證文を以相払可申候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈北京宰領〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　国吉筑登之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈同〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　友寄筑登之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈同大筆者〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
一　大唐船々頭金城筑登之親雲上跡役致相談候間御船手江被相揃候様昨日那覇脇筆者より通達有之候付四ツ時分御船手江罷出遂吟味寄書致印形罷帰候事

　　　　同十一日
一　昆布渡之儀今日迄ニ相済尤大唐船々頭金城筑登之親雲上跡代之儀是又久高嶋西銘筑登之親雲上江被仰付候段首尾承届候事

　　　　同廿一日
一　下ケ銀代内場渡被仰付候付左之通請取書相調帳当座江差出掛印申請銭御蔵引付ニ取替猶又帳当座掛合を以向々より相請取候事
　　　　請取
　銭壱万貫文
　　右当秋渡唐ニ付下限代之内として慥ニ如斯御座候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈北京大筆者〉
　　　三月　　　　　　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈同大通事〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　牧志里之子親雲上
　　　銭御蔵

　　　　同廿五日
一　那覇脇筆者より左之通触有之候事
　　覚
一　五月初八日〈己亥〉午之時
一　同十一日〈壬寅〉已之時
　　　右御旅御拝
一　同十三日〈甲辰〉巳之時
一　同十六日〈丁未〉巳之時
　　　右菩薩おたかへ
一　同十九日〈庚戌〉巳之時
一　五月廿五日〈丙辰〉巳之時
　　　右順礼
一　同廿五日〈丙辰〉巳之時
一　同廿八日〈己未〉巳之時
　　　右鉄砲稽古
一　六日初四日〈甲子〉午之時
一　同七日〈丁卯〉午之時
　　　右三平等之御立願
一　同十一日〈辛未〉巳之時
一　同十五日〈己亥〉午之時
　　　右誓詞
一　同十九日〈己卯〉未之時
一　同廿四日〈甲申〉未之時
　　　右菩薩御乗船
一　同廿七日〈丁亥〉午之時
一　同廿九日〈己丑〉巳之時
　　　右御茶飯
一　七月初二日〈壬亥〉巳之時
一　七月初三日〈癸巳〉午之時
　　　右上表渡
一　同十日〈庚子〉午之時
一　同十三日〈癸卯〉午之時
　　　右御銀渡
一　同十三日〈癸卯〉午之時
一　同十八日〈戊申〉巳之時
　　　右太荷役
一　同廿一日〈辛亥〉午之時
一　同廿八日〈戊午〉午之時
　　　右乗船
　　右之通御日撰如斯御座候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈通書役〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　登川里之子親雲上
　　〈戌〉
　　　三月
　　〈存留〉
　　　高良里之子親雲上
　　右之通有之候間此段致御通達候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　　　〈在留〉
　　三月十六日　　　　　　　　　　　　　　高良里之子親雲上
　　〈脇筆者〉
　　　比嘉筑登之親雲上
　　右之通有之候間此段致御通達候尤次触ニ而本紙ハ末より被差帰候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈脇筆者〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　比嘉筑登之親雲上
　　〈戌〉
　　三月十六日
　　〈北京大筆者〉
　　　田里筑登之親雲上

　　　　同廿九日
一　左之通触有之候事
　　近年渡唐五主船方従等之内色々才覚を以御国並唐商人共より借銀又者払品等借入分限不相応ニ仕廻立候者も有之哉ニ相聞へ候右様交易向広成行候而者第一追々冠船御渡来之節評価物御持渡右ニ応し銀当相嵩ミ至而御難題筋可成立夫而已ならす御当地先年来時々西洋船渡来交易筋申出就中去午年ニ者仏国大総兵来着屹与交易等之儀申立有之不容易御国難之事候付御当地金銀無之産物迚も乏敷是非交易不相調訳を以堅御断被仰入乍其上別方唐江御願立被為在候而兎哉角其形相済居此段者世上一統能為存知通候処当時仏𠸄両国唐五口におへて交易御免許被仰付置既𠸄国ニ者於福州公館等相建広致商売𠸄人共間々琉館屋近辺徘徊等有之由就而者彼者共江琉球口交易向持渡銀高等差知候而ハ弥以西洋表御当地江便り商売望之心深後来之御難題ニ茂可成立彼是如何至極之事候依之自今以後五主船方従之者共御国並唐商人等より致借物候儀一切召留各分際ニ応し相仕廻候様被仰付候
一　唐江交易向広成行候儀其弊前条両件迄ニ而も無之帰唐之砌おのつから荷物関合御船足込相成海上之難儀且末々之者共ニ者差銀纔計之船間ニ而致方無之所より間々不正品等取企逢御咎目且仕廻高次第相応之利潤も可有之候付軽キ者共右之頼を以旅祝儀其外毎物過美ニ取拵夫故何歟見込違出来候節者礑与身上差禿候者も段々罷在候由此節前条通御取締被仰付候付而ハ御趣意之程深奉汲得勿論此渥改而節倹を用旅祝儀其外仕来之式迚も諸事役者中精微致吟味屹与令省略聯無益之費用無之其渥相立候様是又稠敷取締可有之候
一　前条通国土之御難題筋相懸訳而御締方被仰渡事候付何分雖為下賎之者聊取違者有之候間敷賦候得共猶又各与々差分を以従之者ハ拘主五主者役者中船方者船頭江相附前条之旨堅取聞他国人より之借物一切取止分外之仕廻立不致通之證文年々高所江可差出候
　　右之通御締方被仰付候条堅固可相守候乍此上違背之者於有之者御糺方之上当人者勿論与中迄も屹与可及御沙汰候条聊緩疎右間敷候此旨御差図ニ而候已上
　　〈戌〉
　　　二月十六日　　　　　　　　　　　　兼城親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　川平親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　浦崎親雲上
　　〈戌秋走進貢船両䑾〉
　　　役者中
　　右之通被仰渡候間被得其意本紙者末より可被差帰候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈大唐船才府〉
　　　三月　　　　　　　　　　　　　　　吉田里之子親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈小唐船才府〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　真栄平親雲上
　　〈（後補）〉
　　　宰領江も可被相達候
　　〈北京大筆者〉
　　　田里筑登之親雲上
　　明後廿六日大唐船佐事加子御相談仕候間同日四ツ時分当座江御揃被成候様役者中江も御通達可被成候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈御船手奉行〉
　　　四月廿四日　　　　　　　　　　　　田場筑登之親雲上
　　〈大通事〉
　　　屋冨祖親雲上
　　右通有之候間首里役者中江も御通達可被成候以上
　　〈戌〉四月廿四日　　　　　　　　　　屋富祖親雲上
　　〈脇筆者〉
　　　比嘉筑登之親雲上
　　右通有之候間此段致御通達候尤次触ニ而本紙者末より可被差帰候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈脇筆者〉
　　　四月廿四日　　　　　　　　　　　　比嘉筑登之親雲上
　　　田里筑登之親雲上
　
　　　　四月廿六日
一　今日両唐船々方相談ニ付御船手江相揃候様兼而触有之候付四ツ時分罷下り夫々遂御相談船頭おかす書ニ致連印罷帰候事

　　　　五月朔日
一　今日より旅宿相立候先例ニ付兼而宿拵させ家中人数近キ由諸方召列差越軽致馳走相祝候事
　　　附東村我部筑登之親雲上宅致借宿門々左之通聯押候也
　　順風相送行人楽
　　海不揚波旅客歓
　　客飲草堂為宴酒
　　主歓今歳赴閩歌
　　順風送大吉
　　一路得平安
一　小唐船方大宿開ニ付罷出相祝候様兼而五主役を以挨拶有之候付四ツ時分色衣大帯ニ而勢頭御宿江参上当日之御祝儀申上暫扣居候処久米村役者衆中相揃追而大宿より注進有之候付御一同出立各大宿江罷出ニ献之取替有之済而各持参之錫ニ而致取替茶飯〈〆物／和物／相付〉馳走旁相済罷帰候事
　　　附
　　一　勢頭同与力並大唐船方久米村役者中ニ者大唐船大宿大夫私並小唐船方久米村役者中ニ者小唐船大宿江罷出候也
　　一　錫一双弐合完入朱紙ニ而口取紅白水引ニ而結持参いたし候也
　　一　大夫御宅江相揃久米村役者一同勢頭御宿江参上仕候先例ニ而候処大夫御病気ニ付本文通直ニ勢頭御宿江致参上候也
　　明四ツ時分於上之天后宮御船簱字書認候間例之通瓶酒御遣可被成候此段致御通達候以上
　　　五月朔日　　　　　　　　　　　　〈存留〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高良里之子親雲上
　　　田里筑登之親雲上
一　表御方より左之通被仰渡候事
　　御当国先年来臨時御物入打続候上去辰年以来異国一件ニ付唐大和江御使者事多御当地ニ而之御入費茂及過分御蔵方御続方極御難渋成立於国中ニも別而難儀之砌柄当年江戸江御使者被差上追々封王使御申請等莫太之御入価差見得就而者国中乍困窮いつれ重出物等を以御手当可被仰付候付去々申年厳密御倹約被仰付置候処世上守薄有之由相聞得甚不可然儀候依之自今御時節柄を深致勘弁諸祝儀事又者若脇土産等御倹約之旨趣厳重取守有来候諸式迚も如何ニも致作略勿論風之願船待杯与申多人数相揃於宮拝殿慰事之様造作ケ間敷儀も一切無之様可被取計候尤於旅先も其勘弁有之少も過美之仕形無之様船頭五主船方従之者共ニも時々取締可被致旨御差図ニ而候事
　　〈戌〉四月廿九日

　　　　五月二日
一　上之天后宮ニ而渡唐船簱字書調候間例之通瓶酒差遣候様存留より問合有之候付錫一双〈弐合／□□〉差遣候事
一　左之通触有之候事
　　来ル十日巳之時御舩渡ニ而候間網屋江罷出例之通可被相勤候此段致問合候以上
　　　五月三日　　　　　　　　　　　　　久手堅親雲上
　　〈大唐船〉
　　　役者中
　　右之通有之候間此段致御通達候已上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈大唐船方〉
　　　五月三日　　　　　　　　　　　　　大宿
　　　〈（後補）〉
　　　宰領も可被相達候
　　　田里筑登之親雲上
　　右通有之候間此段致通達候以上
　　　五月三日　　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
　　〈宰領〉
　　　友寄筑登之
　　〈同〉
　　　国吉筑登之
一　両唐船佐事定加子水主中御印紙昨日相済候由ニ而私江相付勢頭御宿ニ参上仕度旨申出候付色衣着ニ而召列勢頭御宅江参上御届之次第申上於本座御逢御茶一ツ被下候事

　　　　五月四日
一　今日波龍舟致見物直ニ壺川松尾江差越参会いたし候旧例ニ付五ツ頭時分勢頭御宿江相揃勢頭御始両大宿役者御一同五主召列於仲之矼一刻波龍舟致見物直ニ右松尾江差越勢頭御持参之提重ニ而大唐船才府以下与力迄取替之□五主共旅歌三節三味線相添諷尤小唐船方ニ者才府持参之重ニ而取替次ニ五主中持参之錫一双三舎ツヽ入座中江餝五主中順々差通右旁相済於去方致参会候先例ニ而一同差越候事
　　　　附
　　一　衣裳之儀綾色大袖重を以致大帯候也
　　一　朝飯者壺川松尾ニ而相給昼飯者去方ニ而相喰候也
　　一　仲之矼座構者船頭方壺川松尾座構並茶湯者五主構ニ而候也
　　一　才府官舎八寸重弐次焼酎壱済完大筆者以下勢頭与力迄七寸重弐次焼酎壱済ツヽ其内壱次肴壱次高麗餅入付為致持参先例ニ而候処御欠略ニ付役者中惣吟味之上勢頭御案内を以此節より高麗餅者致引方大宿取計を以随次ニ召成候付左之通相調焼酎一瓶取添去方江相持せ五主方江引渡させ候也
　　　　焼しし
　　　　□半弁
　　　　花いか
　　　　いりこ
　　　　　〈黄粉付〉
　　　　木之子
　　　　てんふら鯛

　　　　五月六日
一　両大宿より左之通触有之候事
　　　　言上写
　　今月八日渡唐人数旅御拝之事
　　　　以上
　　　　五月六日
　　右通言上相済候間致御通達候以上
　　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　〈御評定所筆者〉
　　　　五月六日　　　　　　　　　　　　宮城筑登之親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　本村里之子親雲上
　　〈（後補）〉
　　役者中江も御通達可被成候
　　　　　勢頭
　　〈同〉
　　　　　大夫
　　右之通相済候間役者中江も御通達可被成候以上
　　　　附朝衣冠ニ而四ツ頭時分登　城之事
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈勢頭与力〉
　　　五月六日　　　　　　　　　　　　　兼城里之子親雲上
　　〈両䑾〉
　　　大宿
　　右之通有之候間此段致御通達候以上
　　〈戌〉
　　　五月六日　　　　　　　　　　　　　両大宿
　　　田里筑登之親雲上
一　那覇脇筆者より左之通触有之候事
　　明日者御出仕前以御規式稽古仕候筋下庫理勢頭方致釣合置候間五ツ時登　城可被成候尤時刻遅成候而者差支申候間為御心得此段も申上候以上
　　　附久米村役者北京大筆者船頭江も御達可被成候以上
　　　　首里役者江者此方より申上置候
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈勢頭与力〉
　　　五月七日　　　　　　　　　　　　　兼城里之子親雲上
　　〈脇筆者〉
　　　比嘉筑登之親雲上
　　右之通有之候間此段致御通達候以上
　　〈戌〉
　　　五月七日　　　　　　　　　　　　　両大宿
　　〈北京大筆者〉
　　　田里筑登之親雲上

　　　　五月八日
一　今日旅御拝ニ付五ツ頭前朝衣冠ニ而登　城下庫理勢頭方江扣居勢頭御始役者中相揃吉辰成当御番之三司官以下御着座捧神御門ニ而御拝仕相済夫より於下庫埋勢頭御頭ニして大唐船方役者才府以下存留迄北表より出仕南表江着座同大筆者以下船頭迄同所より罷通出仕相済本之座江退去小唐船方役者才府以下脇通事迄南表より罷通出仕北表江着座同大筆者以下船頭迄同所より罷通出仕相済本之座江退去左候而大筆者以下船頭迄大通被下右旁相済御書院江参上当御取次美拝申上
佐敷按司加那志様
野嵩按司加那志様江者御近習御取次ニ而美拝申上候処於下知之間薄御茶被成下退　城直ニ聞得大君御殿江参上大親御取次同断申上候処薄御茶被成下罷帰候事
　　　　附
一　於下庫理出仕之儀座敷衆五はい上壇黄冠ハ五はいニ而仕尤大通も右同断ニ而被下候也
一　大夫名城親雲上同儀者山里筑登之親霊上大筆者久志里之子親雲上ニ者当病ニ付下車理釣合之上棉紙切紙ニ覚書を以御評定所唐船方江差出候也
一　御庭御拝之儀先例通北表勢頭御頭ニして大唐船方役者中南表大夫並小唐船方役者中各役順次第着座ニ而可相勤之処雨天故本文通於捧神御門相勤候也
一　御書院江参上美拝申上候節者御書院江披為遊　出御勢頭大夫役者中船頭迄役順を以四五人完出仕相済左候而勢頭大夫於御前御茶被成下役者以下船頭迄者於下知之間御茶被成下候先例ニ而候処此節者疱瘡御稜ニ付本文通候也
　一　家中人数並近き由諸方相招軽ク致祝儀門々左之通聯押候也
　一　女共鼓打躍候儀御欠略ニ付而者大宿役者中相逢吟味之上勢頭御案内を以鼓者差留手打躍させ候也
　一　御役目方御宿者先例無之也
　　　共拝君恩頒玉節　　　　九重恩浩蕩
　〈門〉　　　　　　　〈園門〉
　　　遥朝帝闕泛仙槎　　　　万里路平安
　　　順風相送行人楽　　　　順風開海路
〈玄館〉　　　　　　　〈中門〉
　　　海不揚波旅客歓　　　　暑気繞園門
一　両大宿より左之通触有之候事
　　　　覚
一　今月十六日巳之時菩薩御たかへ
　　　右通日柄相済候間前刻朝衣冠ニ而上之天后宮江御揃例之通可被御勤候
一　同十九日巳之時順礼
　　　右之通相済候間前刻供済寺江朝衣冠ニ而御揃例之通可被御勤候
　　右腰書之通日柄相済候間此段致御通達候以上
　　〈戌〉
　　　五月八日　　　　　　　　　　　　　両大宿
　　〈（後補）〉
　　宰領江も可被相達候
　　　田里筑登之親雲上

　　　　五月十日
一　今日巳之時御船渡ニ付五ツ過時分迎恩亭江相揃いつれも網屋江差越高屋江扣居吉辰成候段日帳筆者ニ付而申出候得者御修甫奉行主取日帳筆者渡唐人数御船手奉行大屋子筆者大工迄大唐船江乗付此時金鼓大唐船役者北表御修甫奉行主取日帳筆者御船方筆者御船手奉行大屋子筆者小唐船役者南表江役順次第着座例之通御船渡相済渡唐役者より真盃壱餝錫一双御修甫奉行より錫一双肴一するめ出御船手奉行より錫一双出小唐船役者より錫一双出取替済而船頭大工簱振佐事五主祝歌三篇仕佐候而いつれも小唐船江乗移此時金鼓規式大唐船同断相済候事
　　　　附
　　一　渡唐役者迎之伝間者船頭方請込ニ而兼而通堂崎江相廻置役者伝間江乗付候砌より着場迄金鼓三度打候也
　　一　何連も高屋より出立並御船江乗付候砌且下船之時三度金鼓打候也
　　一　〈大唐船／小唐船〉役者持参之酒御修甫奉行御船手奉行主取〈大唐船ニ而ハ勢頭大夫ニ而小唐船ニ而ハ才府大通事ニ而〉取替南表着座之人数江者順々相通候也
　　一　御修甫奉行持参之酒〈大唐船ニ而ハ勢頭大夫／小唐船ニ而ハ才府大通事〉御船手奉行取替北表着座之人数江者右同断
　　　　　附肴いつれもおさへ候ハヽ刻限相過御船手奉行持参之取替差支候故酒計順々相通俊也
　　一　御船手奉行持参之酒御修甫奉行〈大唐船方勢頭大夫／小唐船方才府大通事〉主取取替右同断
　　一　小唐船役者大唐船江持参之酒才府大通事ニ而勢頭大夫取替右同断
　　一　大唐船役者小唐船江持参之酒勢頭大夫ニ而才府大通事取替右同断
　　一　大夫ニ者病気ニ付出勤不敗候得共以後為見合本文通書記置候也
一　今日九ツ時分大夫名城親雲上被致死去明日八ツ時分荼毘之段承候此段致御通達候以上
　　　附次触ニ而差通本紙ハ末より可被差帰候
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈存留〉
　　　五月十日　　　　　　　　　　　　　高良里之子親雲上
　　〈（後補）〉
　　宰領江も可被相達候
　　　田里筑登之親雲上
一　大唐船方大宿より左之通触有之候事
　　近年唐反布類過分ニ持登候付追々取締申渡儀ニ者候得共御領内ニ而相禿丈ニ無之商人共不正之手筋取企他国江致抜売当時唐反布類分ケ而公辺よ里茂御取締厳敷事候付以来琉人持渡候儀左之通
一　羅紗五拾本　　　　一　鳫毛緞百本
一　崥岐弐百五拾本　　一　西洋布千弐百五拾本
　　右之通差登候儀令免許候条於琉球在番奉行所江申出免許を受候上可差登候万一心得違免許を不受差登候ハヽ品物取揚其身屹与可及迷惑候且琉人共巡覧又者附届用等不足も候ハヽ琉球産之品を以用弁可致候
　　右之通申付候条屹与取違無之様琉球江申越渡唐役者共江も成丈余計不持渡様厳敷可申付旨摂政三司官江可申越旨琉球館聞役並在番親方江可申渡候
　　　三月　　　　　　　　　　　　　　　　　将曹
　　右之通御取締被仰渡候段此節琉球館より申越有之候付御免外一切不持登様上国之御使者役々並船頭共江厳敷御締方被仰渡置候就而者第一渡唐之面々仰渡之御趣意堅取聞兼而其賦を以面々致配当成丈余計持渡間敷候公辺江相拘訳而御締方被仰渡不容易御事候処万一末々之者とも取違是迄之通過分持渡不正筋等致出来候而者如何至極之事候条此旨を存従之者迄厳重取締行届候様可被取計候此旨御差図ニ而候以上
　　〈戌〉四月廿九日　　　　　　　　　　小禄親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　恩川親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　浦崎親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　嘉手納親方
　　〈戌秋走両䑾〉
　　　渡唐役者
　　右之通被仰渡候間此段致御通達候以上
　　〈戌〉五月十日　　　　　　　　　　　両大宿
　　〈（後補）〉
　　宰領江も可被相達候
　　　田里筑登之親雲上
一　羅紗百五拾疋　　　一　鳫毛緞百五拾疋
一　崥岐五百疋　　　　一　西洋布三千疋
　　右御当地ニ而大和人方買入高員数被召定置候由在番親方より内々承合御問合有之候事
　　〈戌〉四月廿九日
　　右通有之候間為御心得此段致御通達候以上
　　〈戌〉五月十日　　　　　　　　　　　両大宿
　　〈（後補）〉
　　宰領江も可被相達候
　　　田里筑登之親雲上

　　　　五月十二日
一　大唐船方大宿より左之通触有之候事
　　従訴之儀御評定所より早々書出候様被仰渡候間来廿日限各従名面可被書出候此段致御通達候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈大唐船方〉
　　　五月十二日　　　　　　　　　　　　大宿
　　〈（後補）〉
　　宰領江も可被相達候
　　　田里筑登之親雲上

　　　　五月十三日
一　右之通有之候付左之通大唐船方大宿江差出候事
　　　　覚
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈泊村次男〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伊波筑登之親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈同村〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　金城にや
　　右私従内名面如斯御座候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈北京大筆者〉
　　　五月十三日　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
　　　　覚
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈若狭町村〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　嶋袋筑登之
　　右私共従内名面如斯御座候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈北京宰領〉
　　　五月十三日　　　　　　　　　　　　国吉筑登之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈同〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　友寄筑登之
一　左之通触有之候事
　　　　覚
一　今月廿三日より廿八日迄
　　　　右鉄砲重稽古
一　同廿六日より廿八日迄
　　　　右定式稽古
　　右之通日柄相済候間例之通稽古申五ツ時分謝場江御越可被成候此段致御通達候以上
　　〈戌〉五月十五日　　　　　　　　　　両大宿
　　〈（後補）〉
　　宰領江も可被相達候
　　　田里筑登之親雲上

　　　　五月十六日
一　菩薩おたかへニ付五ツ時分朝衣冠ニ而上之天后宮江罷出いつれも相揃巳之時御たかへ相済大菩薩御前江拝礼夫より各菩薩御前江拝礼仕罷帰候事
　　　　　附
　　一　大唐船菩薩接貢船より未御帰帆不被為成候付本文通御拝相勤候也
　　一　是より先朔望拝礼仕候也
一　左之通上之於天后宮相請取候事
　　　　請取
　銀子拾九貫目
　　右当秋渡唐下ケ銀之内として慥ニ如斯御座候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈北京大筆者〉
　　　五月十六日　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈同大通事〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　牧志里之子親雲上
　　銭御蔵
　　〈（後補）〉
　　本文才覚銀之内より役者中致配当相請取候付兼而内證聞之者とも右銀子引受大和人方江差使銀子壱匁に付九貫百文天保金壱匁ニ付……………直□を以相談相決置候付其通之弁面ニ而相請取候也

　　　　五月十九日
一　今日順礼ニ付両大宿より兼而通達有之卯之時朝衣冠ニ而宰領共召列洪済寺江相揃勢頭御始両艘役者中天尊堂江罷出中頭ニして御拝仕猶又洪済寺江罷帰右同断相済夫より参詣所最寄を以両艘之佐事加子とも簱振歌ニ而方々罷通於臨海寺拝殿波之上権現並護国寺江向直として御花一籠御五水一双完備上神主御茶相済御拝弐度相勤左候而献納之御五水相下ケ勢頭並小唐船方才府神主御取替於荒神堂船頭方より茶馳走済而東大道罷通上之天后宮ニ而久米村役者より右同断有之於八幡宮者御拝仕献納之御五水ニ而護国寺同断御取替旁相済御茶飯之御規式致稽古七ツ時分致帰宅候事
　　　　　附
　　一　揃所者先例波之上拝殿ニ而候処此節者異国人護国寺江被召置候付本文通相揃候也
　　一　御拝之時又者御門々出入之砌金鼓打候儀崇元寺計相止候先例ニ而候処前条通異国人被召置候付天尊堂並洪済寺江も崇元寺同断金鼓相止候也
　　一　朝めしハ荒神堂ニ而相喰昼休之儀者昼間兼務弁当ニ相調八幡宮江相揃候也
　　一　家中人数近き由緒方相揃軽祝門々聯押候也
　　一　参詣所在之通ニ而候也
　　波之上〈御□□ニ而御壱ケ所〉　護国寺〈仏殿〉　天尊堂〈五ツ御拝〉　海蔵院　洪済寺　臨海寺〈仏殿〉　荒神堂　下之天后宮　上之天后宮〈渡唐菩薩／大菩薩／関帝王〉　龍王堂〈五ツ御拝〉　蔡姓之堂〈御拝所弐ケ所〉　東寿寺〈堂小〉　東禅寺　内兼久〈弁才天〉　長寿寺　天久寺〈御宮並仏殿〉　崇元寺　八幡御宮計

　　　　五月廿二日
一　明日より小禄間切於大嶺村鉄砲稽古ニ付大宿役者一同酉頭時分彼村江差越赤嶺筑登之親雲上宅致借宿候事
　　　　附於宗之崎稽古仕候先例ニ而候処異国人護国寺江逗留ニ付本文通ニ而候也

　　　　五月廿三日
一　今日より鉄砲足軽指南ニ付綾色衣裳細帯ニ而五ツ時分役者中一同射場江差越稽古相済七ツ時分罷帰候事
　　　　附鉄砲稽古中宰領も罷出候付申達候也

　　　　同廿四日
　　　　同廿五日
一　右同断差越七ツ時分罷帰候事

　　　　同廿六日
一　今日より鉄砲定式稽古ニ付御奉行様御役々衆御出張被成筈候処御奉行様御暇乞ニ付早晩之通綾色細帯ニ而五ツ時分役者中一同射場江差越稽古相済七ツ時分罷帰候事
　　　　附御奉行様御出張被成候節者色衣大帯致着先例ニ而候処御暇乞故本文通ニ而候也

　　　　五月廿七日
一　右同断差越七ツ過時分罷帰候事
　　　附前条同断

　　　　同廿八日
一　今日鉄砲定式稽古満散ニ付御奉行様御役々衆御出張被成候付五ツ時分色衣大帯白下着ニ而早晩之通射場江差越鉄砲稽古並帆焼御試旁相済七ツ時分旅宿江罷帰酉頭時分大宿役者中一同那覇江罷登候事
　　　　　附
　　一　勢頭摩文仁親雲上ニ者御不決ニ付与力より御物城ニ付而御奉行様江御暇乞申上置候付於御棧敷御取替之儀者小唐船才府真栄平親雲上御名代ニ而相勤候也
　　一　御奉行様より勢頭大夫並両艘役者中船頭江御餞として於射場昆布弐百斤定式並上納砂糖方御役々衆より同断昆布弐百斤被下置候也
　　　　　附御奉行様並定式砂糖方御役々衆御名前左ニ記置候也
　　（名前記載なし）

　　　　六月朔日
一　今日菩薩御拝ニ付五ツ時分色衣冠ニ而上之天后宮江罷出勢頭大夫御始役者中船頭以下船方迄相揃御拝弐度相勤罷帰候事
　　　附是より先朔望毎本文通尤御香之儀者唐佐事より差足上候而後日致割府候先例之由且又勢頭大夫ニ者御出勤不被成候得共以後心得之為書記置候也
一　御奉行様江一昨日御餞被下候為御礼役者中船頭迄一紙名面書ニ而御礼申上御役々衆江者役者中船頭迄名札を以御礼申上候事
　　　　　附
　　一　例年者勢頭大夫御連名之御口上書役者中船頭迄一紙名面書包加勢頭方構ニ而相調御礼申上候先例ニ而候処此節者勢頭も御不快大夫名城親雲上跡代もいまた相済不申候付本文通候也
　　一　御役々衆江之名札左之通ニ而候也
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈北京大筆者〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
一　左之通今日言上相済候付御銘々御宅参上御祝儀申上候事
　　　　　言上写
一　請唐御代替付進貢兼而慶賀王舅紫冠添而
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　摩文仁親方
一　請右同勢頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　称覇親雲上
一　請右同王舅通事
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈次男〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　崎山里之子親雲上
　　　以上
　〈戌〉
　　六月朔日
　　　言上写
　　請当秋渡唐大夫名城親雲上相果候付代唐御代替付進貢兼而慶賀大夫正儀大夫添而
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈嫡子〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奥間里之子親雲上
　　　　以上
　　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　〈御評定所筆者〉
　　　　六月朔日　　　　　　　　　　　　宮城筑登之親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈同〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　諸見里里之子輯雲上

　　　　六月十三日
一　聞得大君御殿並三平等御立願之日柄大唐船大宿より左之通百田紙横折ニ書調差出候付勢頭御案内を以御評定所唐船方江差出候処御座入御覧奉済候段被仰渡候付勢頭御宅江致持参右之趣申上則勢頭江附添聞得大君御殿参上座敷大親御取次奉伺候処今日十八日御星被成下候付早速御評定所月番方江差出候事
　　　附御物大親御取次被成候先例ニ而候処引入之由ニ而本文通御取次仕候也
　　　覚
一　今月十八日
一　同廿一日
　　　五月
　　　　　言上写
　　今月十八日当秋渡唐人数三平等聞得大君御殿御立願可仕事
　　　　以上
　　〈戌〉六月十三日
　　右之通言上相済候間被御通達候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈御評定所筆者〉
　　　六月十三日　　　　　　　　　　　　宮城筑登之親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　諸見毘里之子親雲上
　　〈（後補）〉
　　役者中江も御通達可被成候
　　　王舅
　　右之通有之候間役者中御通達可被成候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈王舅与力〉
　　　六月十三日　　　　　　　　　　　　兼城里之子観察上
　　〈大唐船方〉
　　　大宿
　　〈小唐船方〉
　　　大宿
　　右之通相済候間此段致御通達候以上
　　〈戌〉六月十三日　　　　　　　　　　両大宿
　　〈（後補）〉
　　宰領江も可相達候
　　　田里筑登之親雲上
一　硫磺焼方より左之通船宿之候事
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈検者〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今帰仁里之子親雲上
　　　　覚
　　進貢御物硫磺之儀宜野湾間切於我如古村焼調方被仰付候付明日より焼始申候間例通可被相勤候此段致御通達候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈筆者〉
　　　六月十四日　　　　　　　　　　　　外間筑登之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈主取〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山田筑登之親雲上
　　　北京役者
一　大唐船方大宿より左之通触有之候事
　　　　覚
一　今月十九日より廿八日迄役者船頭
一　同廿九日より七月八日迄五主作事水主
　　右之通荷作日賦相済候間此段致御通達候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈大唐船方〉
　　　六月十五日　　　　　　　　　　　　大宿
　　〈（後補）〉
　　宰領江も可相達候
　　　田里筑登之親雲上
　　　六月十五日
一　今日進貢硫礦宜野湾間切於我如古村焼始之段兼而硫礦焼方より通達有之候付勢頭大夫御案内を以宰領両人召列早朝彼之村江差越入相時分罷帰候事
　　　　　附
　　一　北京大通事ニも一同差越可申之処不快ニ付致暇乞候也
　　一　於泊村焼調方被仰付先例ニ而候処異国人護国寺江逗留ニ付本文通被仰付候尤焼取中北京大通事私宰領人とも廻合相勤且又焼取次第時々致懸〆砂糖座江持越させ候先例ニ而候也
　　一　硫礦焼方役々並焼人共江馳走用持参物有之候付左之通相調致持参調入如斯後日北京大通事江致割府候也
　　一　持参物左之通ニ而候也
　　八寸重弐次
　　　　てんふらたい　　　　おつら焼半へん
　　　　□牛房　　　　　　　〆しゝ
　　　　〆しゝ　　　　　　　あけとうふ
　　　　あけつゝら　　　　　〆昆布
　　　　酢瓜　　　　　　　　酢瓜
　　　　焼酎壱瓶〈壱済〉
　　　　清明茶一包〈半斤〉
　　一　硫礦斤高桶数硫礦焼方定手形表左之通ニ而候也
　　　　硫礦壱万三千六百八拾壱斤
　　　　丁ニして百八拾壱丁高九寸より九寸五分迄
　　　　　内
　　　　壱万弐千六百斤　　　執照表
　　　　五百三拾八斤　　　　用意
　　　　〈（後補）〉
　　　　丁ニ三斤走丁数多少之時増減有之候
　　　　五百四拾三斤　　　　走
　　一　雑桶百八拾壱丁惣高壱尺弐寸内法高壱尺差渡内法壱尺弐寸とさふた仕合とさヒ壱寸ア五分ふた壱ツニとさ弐ツ針目四ツ封目弐所完

　　　　六月十六日
一　今日進貢銅錫請取方ニ付大通事一同宰領召列仕上世座江罷出帳当座筆者並御用物座役人同所加勢筆者相合検見を以斤目憲法掛〆させ相請取箱ニ入付荷作させ大通事私相封ニ而仕上世座拾間御蔵江致格護罷帰候事
　　　　　附
　　一　銅錫箱之儀兼而御用物座より請取置候也
　　一　荷作並持越方者両唐船水主入ニ而相弁候也
　　一　銅三千百斤
　　　　　但壱箱ニ百斤完入
　　一　右入雑箱三拾壱莚荷作宗呂縄すかり
　　一　錫千五拾斤
　　　　　但壱箱百五斤完入
　　一　右入雑箱拾ツ荷作右同断

　　　　同十六日
一　明後十八日聞得大君御殿並三平等御立願ニ付御注文甲子書其外御願物等拝繕方ニ付四ツ時分勢頭御宅江参上右旁相済入相時分罷登候也
　　　　附五主四人御願物拝繕方ニ罷登候也
一　申口方より左之通触有之候事
　　製硫礦之儀焼出次第即々請取候様北京役者江被仰付被下度此段奉得御差図候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈検者〉
　　　六月　　　　　　　　　　　　　　　今帰仁里之子親雲上
　　右通申出有之其通被仰付候間可被（得）其意候以上
　　〈戌〉
　　　六月十六日　　　　　　　　　　　　譜久村親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小禄親雲上

　　六月十七日
一　慶賀勢頭より左之通御問合有之候付次書を以王舅方江差通候事
　　私事明日三平等之御願相勤可申之処昨日糸数親雲上妹致死去為私ニ者本宗之従姪ニ而十日之忌懸ニ付聞得大君御殿大親宅之御取次御延申上候付願通相済候間此段致問合候以上
　　　六月十七日　　　　　　　　　　　　称覇親雲上
　　　北京大筆者
　　右通有之候間此段可被申上候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈北京大筆者〉
　　六月十七日　　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
　　〈王舅〉
　　　与力
一　左之通触有之候事
　　　　言上写
　　今月廿七日当秋渡唐人数江御茶飯可被下事以上
　　〈戌〉
　　　六月十七日
　　右之通言上相済候間御通達仕候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈御評定所筆者〉
　　　六月十七日　　　　　　　　　　　　宮城筑登之親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈同〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　諸見里里之子飼雲上
　　　渡唐人数
　　右之通有之候間此段致御通達候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈大唐船方〉
　　　六月十七日　　　　　　　　　　　　大宿
　　〈（後補）〉
　　宰領江も可被相達候
　　　田里筑登之親雲上

　　　　六月十八日
一　今日三平等之御立願ニ付兼而大宿より通達有之候付五ツ時分朝衣冠ニ而聞得大君御殿江参上王舅大夫役者中御揃立願相済夫より儀輔殿内首里殿内真壁殿内江参上御立願仕八ツ時分罷帰火の神並霊前江御拝且内證願も仕候付願人数本座江相請御花相頂候事
　　　　　附
　　一　御願文左之通ニ而候也
　　一　由諸方切札を以相扣致祝儀候也
　　一　女性方鼓打をとり候也
　　一　門々左之通聯押候也
　　　　　願文
千手観音御宝前
虚空蔵御宝前
　　　　　旅中月参之事
　　　　　立願之時
一　御花　　　　　　　　　　　　　　一籠完
一　御香　　　　　　　　　　　　　　五本完
　　　　　結願之時
一　御花　　　　　　　　　　　　　　一籠完
一　御香　　　　　　　　　　　　　　五本完
一　御燈明　　　　　　　　　　　　　一対完
一　御茶之子　　　　　　　　　　　　一対完
一　御参銭　　　　　　　　　　　　　三貫三百三拾三文完
　　右意趣者乙年金性之丑当歳〈二十／二十〉六田里筑登之親雲上今度就渡唐海陸無恙上下順風自在息災延命公務万端仕合能召列之人数迄無故障首尾能可遂帰国事偏ニ奉仰仏力之威光故也仍願文如件
道光三拾〈庚戌〉年六月十八日
　　　　御願文
浮縄の御嶽御伊遍の御前
のろ所火之神の御前
押上森御嶽おいへ之御前
　　　　旅中月参之事
　　　　御願立申御祝物
一　せんかう　　　　　　　　　　　　五本完
一　みはな　　　　　　　　　　　　　一籠完
一　御五水　　　　　　　　　　　　　一対完
一　御燈明　　　　　　　　　　　　　一対完
一　御茶之子　　　　　　　　　　　　一対完
　　右意趣者乙年金性之丑当歳〈二十／二十〉六田里筑登之親雲上今度唐江わたるけに従者ニ至り海陸上下旅のミおやたりのふことも百かふうのあるやうに御守めしよわちへおたふいめしよわれてゝ立申願書如件
道光三拾〈庚戌〉年六月十八日
　　　仙槎載吉始開洋　　　千重浪裏平安過
〈門〉　　　　　　　〈玄官〉
　　　貢使禱神多得福　　　百尺竿頭穏下来
　　　恭拝明君臨御宴　　　順風開海路
〈中門〉　　　　　　〈園門〉
　　　将朝天子泛仙槎　　　一路得平安

　　　　六月十九日
一　左之通触有之候事
　　来ル廿一日巳之時菩薩御たかへ日柄相済候間此段致御通達候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈総官〉
　　六月十九日　　　　　　　　　　　　　吉川里之子親雲上
　　〈大唐船方〉
　　　大宿
　　　右之通有之候間此段致御通達候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈大唐船方〉
　　　六月十九日　　　　　　　　　　　　大宿
　　〈（後補）〉
　　宰領江も可被相達候
　　　田里筑登之親雲上
一　帳当座より左之通触有之候事
　　下銀之内渡方被仰付候間明後日請取書相調可被差出候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈帳当座〉
　　　六月十九日　　　　　　　　　　　　御所帯方
　　〈北京方〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　役者

　　　　六月廿一日
一　今日帰唐菩薩御たかヘニ付五ツ過時分朝衣冠ニ而上之天后宮江罷出王舅御始役者中相揃最初大菩薩御前江御一同拝礼夫より帰唐菩薩御前江拝礼仕罷帰候事
　　　　　請取
銀子三貫五百五拾七匁六分四り七も六才
　　　　銭ニして三万弐百四拾貫文
　　右当秋渡唐ニ付下ケ銀代之内として慥ニ如斯御座候以上
　　〈戌〉　　　　　　　　　　　　　〈北京大筆者〉
　　　六月廿一日　　　　　　　　　　　　田里筑登之親雲上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈同大通事〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　牧志里之子親雲上
　　　銭御蔵
　　〈（後補）〉
　　総金百八匁壱匁ニ付弐百八拾貫文代より成ル