2-71-13　琉球国中山王尚穆の、乾隆四十九年の進貢のため、進貢頭号船の存留通事梁選（蔡世彦）等に付した執照（乾隆四十九《一七八四》）
琉球国中山王尚（穆）、進貢の事の為にす。
照らし得たるに、本爵、世天朝の洪恩に沐し、会典に遵依して二年一貢し、欽遵して案に在り。
茲に乾隆四十九年の貢期に当たれば、特に耳目官向猷・正議大夫毛景裕・都通事鄭作霖等を遣わし、表章を齎捧し、梢役共に二百を過ぎざるの員名を率領し海船二隻に坐駕せしめ、煎熟硫黄一万二千六百觔・紅銅三千觔・煉熟白剛錫一千觔を装運して両船に分載す。一船の礼字第一百二十八号には煎熟硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・煉熟白剛錫五百觔を装載し、一船の礼字第一百二十九号には煎熟硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・煉熟白剛錫五百觔を装載し、前みて福建等処承宣布政使司に至りて投納し、起送して京に赴き叩きて聖禧を祝らしめんとす。
所有の差去せる員役は、文憑無ければ以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に、王府の礼字第一百二十八号半印勘合の執照一道を給発し、存留通事梁選等に付し、収執して前去せしむ。如し経過せる関津及び沿海の巡哨官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して阻滞するを得る毋からしめよ。
須らく執照に至るべき者なり。
計開す
正使耳目官一員　　向猷　　人伴一十二名
副使正議大夫一員　毛景裕　人伴一十二名
朝京都通事一員　鄭作霖　人伴七名
在船都通事一員　陳長策　人伴四名
在船使者二員　　向廸仁／毛必揚　 人伴八名
存留通事一員　　梁選　 人伴六名
管船火長・直庫二名　梁元恕　我得福
水梢共に
右の執照は存留通事梁選等に付し、此れを准けしむ
乾隆四十九年（一七八四）

注＊乾隆四十九年の進貢使節は、鎌倉本（校訂本の底本）と県図本・台湾本では正副使以外の人名に異同がみられる。本冊では、校訂本（底本は鎌倉本）通りとするが、県図本・台湾本の人名は以下の通り。

正使耳目官一員　　向猷　　人伴一十二名
副使正議大夫一員　毛景裕　人伴一十二名
朝京都通事一員　楊文元　人伴七名
在船都通事一員　阮駿　　人伴四名
在船使者二員　　殷宗綱／毛虞輔　人伴八名
存留通事一員　　蔡世彦　人伴六名
管船火長・直庫二名　鄭汝休　慶全保
水梢共に五十八名
右の執照は存留通事蔡世彦等に付し、此れを准けしむ
乾隆四十九年（一七八四）