2-199-14　琉球国中山王世子尚泰より、咸豊七年の接貢船の派遣に当たり、関係当局へ便宜供与要請のため、存留通事孫得才等に付した執照（咸豊七《一八五七》、八、二）
琉球国中山王世子尚（泰）、恭しく勅書を迎え、併びに使臣を接回する事の為にす。
照らし得たるに、敝国は業に咸豊六年秋に於て耳目官の向有恒・正議大夫の阮宣詔等を遣わし、表章・方物を齎捧して天朝に入貢せしめ、業経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き叩きて聖禧を祝らしめて案に在り。
茲に国に還るの期に当たれば、例として応に船を撥して接回すべし。此れが為に特に都通事の林興教等を遣わし、梢役共に八十九員名を帯領せしめ、海船一隻に坐駕して前みて福建に至り、恭しく皇上の勅書・欽賞せられたる幣帛を迎え、併びに京より回るの使臣の向有恒・阮宣詔・梁大章を接り、閩に在るの存留通事の鄭宏猷等と与に国に還らしめんとす。
又、閩省にて銭を鋳し公用に備辦する事の為にす。
銅二万五千觔を載せ、前みて布政使司に至り投納せんとす。併びに遭風の朝鮮国難人金応彩等六名を附搭せしめ、解送して閩に到らしめんとす。文憑無ければ以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に、王府の礼字第三百一十五号半印勘合の執照一道を給発して存留通事の孫得才等に付し、収執して前去せしむ。凡そ遇う所の関津及び沿海の巡哨官軍は験実して即便に放行し、留難するを得る毋からしめよ。
須らく執照に至るべき者なり。
計開す。
在船都通事一員　　林興教　人伴四名
在船使者二員　　　翁世傑／向如岡　人伴八名
存留通事一員　　　孫得才　人伴六名
管船夥長・直庫二名　　蔡啓基　金永保
水梢共に六十五名
朝鮮国難人共に六名
船主の金応彩　水手の高得松　白光禄　李明信　金徳興
金応連
右の執照は存留通事孫得才等に付す。此れに准ぜられよ
咸豊七年（一八五七）八月初二日

注（1）翁世傑　咸豊七年の在船使者。
（2）向如岡　咸豊七年の在船使者。
（3）蔡啓基　咸豊七年の管船夥長。湖城里之子親雲上（『家譜（二）』魏邦元の譜、四九頁）。