2-188-09　琉球国中山王世子尚泰より関係当局あて、道光二十九年の接貢船の福州行きの便宜を図られたき旨要請する執照（道光二十九《一八四九》、八、四）
琉球国中山王世子尚（泰）、恭しく勅書を迎え、併せて使臣を接回する事の為にす。
照らし得たるに、敝国は業に道光二十八年秋に於て耳目官の向統績・正議大夫の鄭元覲等を遣わし、表章・方物を齎捧して天朝に入貢せり。業経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き叩きて聖禧を祝らしめて案に在り。
茲に国に還るの期に当たれば、例として応に船を撥して接回すべし。此れが為に特に都通事の蔡士俊等を遣わし、梢役共に八十九員名を帯領せしめ、海船一隻に坐駕して前みて福建に至らしめ、恭しく皇上の勅書・欽賞の幣帛を迎え、併せて京より回るの使臣向統績・鄭元覲・毛有増を接り、閩に在るの存留通事の鄭元広等と与に国に還らしめんとす。併せて遭風難夷八名を附搭して閩省に解送せんとす。
文憑無ければ以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に王府、礼字第二百九十五号半印勘合の執照一道を給発して存留通事の阮宣詔等に付し、収執して前去せしむ。凡所の関津及び沿海の巡哨官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して阻滞するを得る毋からしめよ。
須らく執照に至るべき者なり。
計開す。
在船都通事一員　蔡士俊　人伴四名
在船使者二員　金廷挂／沢得英　人伴八名
存留通事一員　阮宣詔　人伴六名
管船夥長・直庫二名　梁定挙　柳伝順
水梢共に六十五名
遭風難夷八名
右の執照は存留通事阮宣詔等に付す。此れに准ぜられよ
道光二十九年（一八四九）八月初四日

注（1）金廷挂　道光二十九年の接貢の使者。阮宣詔の家譜には「才府金廷挂」とある（『家譜（二）』一七二頁）。
（2）沢得英　道光二十九年の接貢の使者。首里沢氏。
（3）梁定挙　道光二十九年接貢の管船夥長。久米村梁氏。