2-163-37　世子尚育の、進貢のため都通事梁必達等に付した符文（道光十六《一八三六》、八、三）
琉球国中山王世子尚（育）、進貢の事の為にす。
照得するに、敝国は世々天朝の洪恩に沐し、会典に遵依して二年に一貢す。欽遵して案に在り。茲に道光十六年の貢期に当たり、特に耳目官向大烋・正議大夫孫光裕・都通事梁必達等を遣わし、表章を齎捧せしむ。梢役共に二百員名を過ぎざるを率領し、海船二隻に坐駕し、常貢の煎熟硫黄一万二千六百觔・紅銅三千觔・煉熟白剛錫一千觔を将て均分して両船に装載す。一船、礼字第二百六十三号は、硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・白剛錫五百觔を装運し、一船、礼字第二百六十四号は、硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・白剛錫五百觔を載運し、前みて福建等処承宣布政使司に至りて投納し、起送して京に赴き、聖禧を叩祝せんとす。
所有の差去せる員役は、文憑無ければ以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に王府、礼字第二百六十二号の半印勘合の符文一道を給発して都通事梁必達等に付し、収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海の巡哨の官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して遅悞するを得る毋からしめよ。須らく符文に至るべき者なり。
計開
正使耳目官一員 向大烋　　　　　 人伴一十二名
副使正議大夫一員 孫光裕　　　　　 人伴一十二名
朝京都通事一員 梁必達　　　　　 人伴七名
在船都通事二員 梁文魁／林奕海　人伴八名
在船使者四員 　 向龍光　東永昌／向致遠馬允憲　　 人伴一十六名
存留通事一員 周大光　　　　　 人伴六名
在船通事一員 阮世秀　　　　　 人伴四名
管船火長・直庫四名　　楊徳偉 永利渉／王丕煌　慶永保
水梢共に一百二十名
右の符文は都通事梁必達等に付し、此れを准けしむ
道光十六年（一八三六）八月初三日

注（1）表章　表は〔一六三―〇一〕〔一六三―〇二〕〔一六三―〇三〕〔一六三―〇四〕、章（奏）は〔一六三―〇五〕〔一六三―〇六〕〔一六三―〇七〕〔一六三―〇八〕。
（2）差去　命令して派遣する。
（3）向致遠　道光十六年の在船使者。道光九年（一八二九）にも接貢の在船使者を勤めている（〔一四九―〇六〕）。
（4）王丕煌　道光十六年の管船火長。この時、平潭で病故した（〔一六四―〇八〕参照）。
（5）慶永保　道光十六年の管船直庫。『宝案』では道光十二・十四、咸豊二・四年にも管船直庫として名がみえる。