2-157-08　国王尚灝の、接貢および朝鮮難民護送のため存留通事鄭元覲等に付した執照（道光十三《一八三三》、八、四）
琉球国中山王尚（灝）、勅書を恭迎し、併びに使臣を接回する事の為にす。
照得するに、本爵は業に道光十二年秋に貢使耳目官向永昌・正議大夫鄭択中等を遣わし、表章・方物を齎捧して天朝に入貢せしむ。経に本爵、福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き聖禧を叩祝せしめて案に在り。
茲に還国の期に当り、例として応に船を撥りて接回すべし。此れが為に特に都通事魏永昌等を遣わす。梢役を帯領し、共に八十九員名なり。海船一隻に坐駕し、前みて福建に至りて、皇上の勅書・欽賞の幣帛を恭迎し、併びに京より回る使臣向永昌・鄭択中・孫光裕と在閩の存留通事王得才等を接えて還国せしめんとす。
又、上年十二月初六、今年二月十三等の日、朝鮮国全羅道全州府及び海南邑の難人李寅秀・安順敬等九名、先後して本国に漂来する有り。経に飭して例に照らして館に発りて安頓し、廩餼・衣服等の件を給与し、撫恤して養贍す。
茲に該難人九名を将て搭解して閩に到らしむ。文憑無ければ、以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。合行に給照すべし。此れが為に王府、礼字第二百五十七号の半印勘合の執照一道を給発して存留通事鄭元覲等に付し、収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海の巡哨の官軍の験実に遇わば、即便に放行し、留難して阻滞するを得る毋からしめよ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
在船都通事一員　魏永昌　人伴四名
在船使者二員　翁宏煕／曹文俊　人伴八名
存留通事一員　鄭元覲　人伴六名
管船夥長・直庫二名　蔡士雄　慶得安
水梢共に六十五名
朝鮮国全州府の難人共に三名　船主李寅秀、水手李枝行・李得哲
朝鮮国海南邑の難人共に六名　水手安順敬・康宗潤・梁仁彩・崔得宝・尹明禄・金凡洛
右の執照は存留通事鄭元覲等に付し、此れを准けしむ
道光十三年（一八三三）八月初四日

注（1）表章　表は〔一五五-〇一〕〔一五五-〇二〕、章（奏）は〔一五五-〇三〕。
（2）鄭元覲　一七八九～一八五一年。久米系鄭氏（古波蔵家）十七世。古波蔵親雲上。道光二十八年（一八四八）正議大夫、申口座に陞る。嘉慶二十年（一八一五）読書習礼のため福州へ赴き、道光十三年に接貢船の存留通事、同二十四年に進貢二号船の都通事、同二十八年に進貢の正議大夫として中国に渡航している。道光七年、真和志間切古波蔵の地頭に任ぜられる（『家譜（二）』六二九頁）。
（3）慶得安　道光十三（一八三三）、十五年接貢の管船直庫。