2-145-08　国王尚灝の、接貢のため存留通事魏学源等に付した執照（道光七《一八二七》、八、二）
琉球国中山王尚（灝）、勅書を恭迎し、併びに使臣を接回せんが事の為にす。
照得したるに、本爵、業に道光六年秋に貢使紫巾官馬開基・正議大夫梁文翼等を遣わし、表章・方物を齎捧し、天朝に入貢す。経に本爵、福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴かしめ、聖禧を叩祝せしめて案に在り。
茲に還国の期に当たり、例として応に船を撥りて接回すべし。此れが為に特に都通事魏思聡等を遣わし、梢役共に八十九員名を帯領し、海船一隻に坐駕し、前みて福建に至らしむ。皇上の勅書・欽賞の幣帛を恭迎し、併びに京回の使臣馬開基・梁文翼・王丕烈と在閩の存留通事梁必達等を接えて還国せしめんとす。
但だ差わす所の員役は、文憑無ければ、以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に王府の礼字第二百四十四号の半印勘合の執照一道を給発し、存留通事魏学源等に付し、収執して前去せしむ。凡そ遇う所の関津及び沿海巡哨の官軍は、験実して即便に放行し、留難して阻滞するを得る毋からしめよ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
在船都通事一員　魏思聡　人伴四名
在船使者二員　蘇定得／向文範　人伴八名
存留通事一員　魏学源　人伴六名
管船夥長・直庫二名　陳時昌　楊□□
水梢共に六十五名
右、執照は存留通事魏学源等に付し、此れを准けしむ
道光七年（一八二七）八月初二日

注（1）魏学源　乾隆五十八～道光二十三年（一七九三～一八四三）。久米村系魏氏（楚南家）九世。嘉慶二十一年通事、道光二年遏達理官、三年都通事、十三年中議大夫、二十一年正議大夫、二十二年申口座に陞る。嘉慶二十年読書習礼のため閩に赴き、二十三年帰国。道光七年接貢の存留通事、十七年謝恩の朝京都通事、二十年四年一貢とされた貢期を従来通り二年一貢に復するように要請するための大通事となる。道光二十二年久志間切有銘の名島を賜り、二十三年美里間切楚南地頭職を授かる（『家譜（二）』三九頁）。『福建進京水陸路程』の著述がある（道光十八年）。
（2）執　校訂本では、「報」とあるが、類例により「執」とした。
（3）蘇定得　小橋川筑登之親雲上（『家譜（二）』四〇頁、魏学源の譜）。道光七年接貢の在船使者。
（4）向文範　道光七年接貢の在船使者。『宝案』では道光十二年進貢の在船使者としても名がみえる（巻一五五）。
（5）陳時昌　道光七年接貢の管船火長。