2-118-08　国王尚灝の、嘉慶二十年の接貢のため存留通事楊徳昌等に付した執照（嘉慶二十《一八一五》、八、十三）
琉球国中山王尚（灝）、勅書を恭迎し、併びに使臣を接回せんが事の為にす。
照得したるに、本爵、業に嘉慶十九年秋に貢使耳目官向斌・正議大夫鄭嘉訓等を遣わし、表章・方物を齎捧し天朝に入貢す。経に本爵、福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴かしめ、聖禧を叩祝せしめて案に在り。
茲に還国の期に当たり、例として応に船を撥りて接回すべし。此れが為に特に都通事鄭克新等を遣わし、梢役共に八十九員名を帯領し、海船一隻に坐駕し、前みて福建に至らしむ。皇上の勅書・欽賞の幣帛を恭迎し、併びに京回の使臣向斌・鄭嘉訓・鄭文洙と在閩の存留通事梁文翼等を接えて還国せしめんとす。
但だ差わす所の員役は、文憑無ければ、以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に王府、礼字第二百八号の半印勘合の執照一道を給発し、存留通事楊徳昌等に付し、収執して前去せしむ。凡そ所の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して阻滞するを得る毋からしめよ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
在船都通事一員　鄭克新　　人伴四名
在船使者二員 　 毛承順／向元麟　　　人伴八名
存留通事一員　　楊徳昌　　人伴六名
管船夥長・直庫二名　蔡洛　維順利
水梢共六十五名
右、執照は存留通事楊徳昌等に付し、此れを准けしむ
嘉慶二十年（一八一五）八月十三日

注（1）向元麟　宜野山里之子親雲上朝倚。嘉慶二十二年の才府（『家譜（二）』蔡修の譜、二七〇頁）。『宝案』では嘉慶七年、二十二年の在船使者（巻九四、一二二）、嘉慶三年、十一年の結状では紫巾官（巻八八、一〇一）として名がみえる。
（2）六十五名　底本では空白だが、本文中の「八十九員名」から積算して「六十五員名」とした。