2-107-07　国王尚灝の、冊封謝恩使の迎接のため存留通事魏亮等に付した執照（嘉慶十四《一八〇九》）
琉球国中山王尚（灝）、勅書を恭迎し、併びに国使を接回せんが事の為にす。
照得したるに、嘉慶十三年、業に皇上の隆恩を蒙り、天使を差わして本国に按臨し、詔勅を宣読し、王爵を授封せらるるを賜る。業に正使法司王舅毛光国・副使紫金大夫鄭章観・使者毛維新・都通事鄭嘉訓等を遣わし、表章・礼物を齎捧し、官伴を率領して海船一隻に坐駕して閩に来たる。業経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴きて天恩に叩謝して案に在り。
茲に査するに、遣わす所の謝恩の使臣は、例として応に来夏に勅を捧じて帰国すべし。此れが為に特に都通事鄭文洙等を遣わし、梢役共に八十六員名を率領し、海船一隻に坐駕し、前みて福建に来り、恭しく皇上の勅書及び欽賜の物件及び京回の使臣毛光国・鄭章観等を接らしめんとす。
但だ差去せる員役は、文憑無ければ、各処の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此れが為に理として合に執照を給発し、以て通行するに便ならしむべし。今、王府、礼字第一百九十四号の半印勘合の執照一道を給し、存留通事魏亮等に附し、収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して遅悞するを得る毋からしめよ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
在船都通事一員　鄭文洙　　跟伴四名
在船使者二員　　馬国材／向永盛　　跟伴八名
存留通事一員　　魏亮　　跟伴六名
管船夥長・直庫二名　　　王宏業　慶賜福
水梢共に六十二名
右、執照は存留通事魏亮等に付し、此れを准けしむ
嘉慶十四年（一八〇九）

注（1）隆恩　皇帝の大いなる恩恵。
（2）馬国材　嘉慶十四年冊封謝恩使の迎接の在船使者。『宝案』では嘉慶十年の在船使者（巻九九）として名がみえる。
（3）向永盛　嘉慶十四年冊封謝恩使の迎接の在船使者。『宝案』では嘉慶十九年の在船使者（巻一一六）として名がみえる。
（4）魏亮　嘉慶十四年冊封謝恩使の迎接の存留通事。
（5）王宏業　嘉慶十四年冊封謝恩使の迎接の管船夥長。
（6）慶賜福　嘉慶十四年冊封謝恩使の迎接の管船直庫。『宝案』では嘉慶九年・十一年・十三年の管船直庫（巻九九・一〇一・一〇四）として名がみえる。