2-102-12　世孫尚灝の、接貢ならびに冊封使の迎接のため正議大夫蔡邦錦等を派遣するむねの執照（嘉慶十二《一八〇七》、□、□）
琉球国中山王世孫尚（灝）、冊封併びに勅書を恭迎し、及び使臣を接回する事の為にす。
照得するに、敝国は業に嘉慶十一年秋に於て、耳目官楊克敦・正議大夫梁邦弼等を遣わし、表章・方物を齎捧し、天朝に入貢し、兼ねて封襲を請う。経に敝国、福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き聖禧を叩祝し、併びに冊封を請いて案に在り。
茲に欽差の臨国、使臣の還国の期に当たれば、応該に船を撥して迎接すべし。此れが為に特に接封の正議大夫蔡邦錦・都通事阮文光等を遣わし、接貢の定例の官梢併びに接封の加増の跟役共に一百五員名を帯領し、海船一隻に坐駕し、前みて福建に至り、天使の敝国に按臨するを恭迎し、併びに皇上の勅書・欽賜の物件を迎え、及び京回せる使臣楊克敦・梁邦弼・蔡肇業を接り、在閩の存留通事鄭克新等と与に帰国せしめんとす。
但だ差する所の員役は、文憑無ければ、以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に、王府の礼字第一百八十六号の半印勘合執照一道を給発し、存留通事蔡宬等に付し、収執して前去せしむ。凡所の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して阻滞するを得ること毋からしめよ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
接封正議大夫一員　蔡邦錦　跟伴二十一名
在船都通事一員　阮文光　跟伴四名
在船使者二員　　毛維幹／毛世新　跟伴八名
存留通事一員　　蔡宬　　跟伴六名
管船夥長・直庫二名　金進　兼秉僖
水梢共に五十九名
右の執照は存留通事蔡宬等に付し、此れを准けしむ
嘉慶十二年（一八〇七）　　月　　日

注（1）蔡宬　嘉慶十二年の存留通事。
（2）毛世新　嘉慶十二年の在船使者。
（3）金進　乾隆四十一～嘉慶十二年（一七七六～一八〇七）。久米村系金氏（具志堅家）十三世。具志堅里之子親雲上。嘉慶八年に読書習礼のため福建に赴き四年間滞在して帰国。嘉慶十二年接貢接封の総官（夥長）として福建に赴くも海壇地方で船が壊れ身故したと家譜には記されている（『家譜（二）』六八頁）。
（4）兼秉僖　嘉慶十二年の管船直庫。