2-92-13　国王尚温の、冊封謝恩使迎接のため都通事梁邦弼等を派遣するむねの執照（嘉慶六《一八〇一》）
琉球国中山王尚（温）、国使を接回する事の為にす。
照得するに、嘉慶五年、業に天朝の隆恩を蒙り、天使を差わして本国に按臨し、詔勅を宣読し、王爵を授封せらるるを賜る。
業に正使法司王舅毛国棟・副使紫金大夫鄭得功・使者向天禧・都通事鄭国鼎等を遣わし、表章・礼物を齎捧し、官伴を率領し、進貢頭号船に坐駕して来閩し、已経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き天恩を叩謝せしめんとす、等の因、案に在り。
随いで査するに、来夏、又、進貢使の回国に値たる。若し例に循いて接貢船一隻を遣撥して迎接せんとすれば、勢い必ず謝恩の官伴を容載し一斉に帰国せしむること能わず。例として接貢船隻を撥するを除くの外、特に都通事梁邦弼等を遣わし、梢役共に七十員名を率領し、海船一隻に坐駕して福建に前来し、皇上の勅書・欽賜の物件及び京回の謝恩使毛国棟・鄭得功等を恭接せんとす。
但だ差去する員役は、文憑無ければ、各所の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此れが為に理として合に執照を給発し、以て通行に便ならしむべし。今、王府の礼字第一百六十九号の半印勘合執照を給し、都通事梁邦弼等に附し、収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して遅悞するを得ること毋からしめよ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
在船都通事一員　梁邦弼　跟伴四名
在船使者一員　　向承功　跟伴四名
管船夥長・直庫二名　陳宏謨　昂長発
水梢共に五十八名
右の執照は都通事梁邦弼等に附し、此れを准けしむ
嘉慶六年（一八〇一）

注（1）向承功　嘉慶六年接貢の在船使者。『宝案』ではほかに乾隆五十七年進貢の在船使者として名がみえる（巻七九）。
（2）陳宏謨　乾隆七～嘉慶十年（一七四二～一八〇五）。久米村系陳氏（仲本家）十二世。はじめは陳弘謨、後に弘の字が禁字とされたため名を改めた。乾隆三十九年通事、嘉慶七年都通事に陞る。乾隆三十九年、四十四年の二度読書習礼のため中国に赴く。嘉慶六年接貢の管船夥長を務めた（『家譜（二）』四九七頁）。
（3）昂長発　嘉慶六年接貢の管船直庫。