2-73-18　琉球国中山王尚穆の、乾隆五十二年の接貢のため、存留通事梁選等に付した執照（乾隆五十二年《一七八七》）
琉球国中山王尚（穆）、恭しく勅書を迎え、併びに使臣を接回する事の為にす。
照らし得たるに、本爵、業に乾隆五十一年冬に於て貢使の耳目官翁秉儀・正議大夫阮廷宝等を遣わし、表章・方物を齎捧して天朝に入貢せしむ。本爵、福建等処承宣布政使司に移咨するを経て、起送して京に赴き、叩きて聖禧を祝らしめて案に在り。
茲に還国の期に当たれば、例として応に船を撥して接回すべし。此れが為に特に都通事魏開功等を遣わし、梢役共に八十九員名を帯領して海船一隻に坐駕せしめ、前みて福建に至り、恭しく皇上の勅書、欽賞の幣帛を迎え、併びに京より回る使臣の翁秉儀・阮廷宝・林維新を接え、閩に在るの存留通事鄭章観等と与に還国せしめんとす。
但だ、差する所の員役は、文憑無ければ以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に、王府の礼字第一百三十五号半印勘合の執照一道を給発し、存留通事梁選等に付し、収執して前去せしむ。凡そ遇う所の関津及び沿海の巡哨官軍は、験実して即便に放行し、留難して阻滞するを得る毋からしめよ。
須らく執照に至るべき者なり。
計開す
在船都通事一員　魏開功　跟伴四名
在船使者二員　麻景長／向重勲　 跟伴八名
存留通事一員　　梁選　　跟伴六名
管船夥長・直庫二名　紅日昂　平永安
水梢共に
右の執照は存留通事梁選等に付し、此れを准けしむ
乾隆五十二年（一七八七）

注（1）向重勲　雍正六～嘉慶十年（一七二八～一八〇五）。首里系向氏（辺土名家）十四世。奧平親方朝昌。乾隆四十八年当座、五十年座敷、五十七年申口に陞り、五十八年に紫冠を授かる。御物奉行方筆者などを経て乾隆三十八年の脇筆者、四十五年の大唐船方大筆者、乾隆五十二年の官舎として中国へ赴く。乾隆五十二年に豊見城間切平良地頭職、嘉慶九年に中城間切熱田地頭職を授かる（『家譜（三）』三〇三頁）。
（2）紅日昂　乾隆十～道光六年（一七四五～一八二六）。久米村系紅氏（和宇慶家）十二世。伊差川通事親雲上（『家譜（二）』三三〇頁、蔡任邦の譜）。乾隆五十七年勢頭座敷、嘉慶二年都通事、二十一年中議大夫に陞る。乾隆五十二年の総官、嘉慶十五年の進貢二号船の脇通事として中国へ赴いた（『家譜（二）』二三〇頁）。