2-65-06　琉球国中山王尚穆の、乾隆四十四年の接貢のため、存留通事陳宏毅等に付した執照（乾隆四十四《一七七九》、十一、十）
琉球国中山王尚（穆）、恭しく勅書を迎え、併びに使臣を接回する事の為にす。
照らし得たるに、本爵、業に乾隆四十三年冬に於て貢使の耳目官金有華・正議大夫蔡煥等を遣わし、表章・方物を齎捧して天朝に入貢せしむ。本爵、福建等処承宣布政使司に移咨するを経て、起送して京に赴き、叩きて聖禧を祝らしめて案に在り。
茲に還国の期に当たれば、例として応に船を撥して接回すべし。此れが為に特に都通事楊文煥等を遣わし、梢役共に八十五員名を帯領して海船一隻に坐駕せしめ、前みて福建に至り、恭しく皇上の勅書併びに欽賞の幣帛を迎え、及た京より回る使臣の金有華・蔡煥・梁廷枢は閩に在るの存留通事王三秀等と与に還国せしめんとす。
但だ、差する所の員役は、文憑無ければ以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。此れが為に、王府の礼字第一百十七号半印勘合の執照一道を給発し、存留通事陳宏毅等に付し、収執して前去せしむ。凡そ遇う所の関津及び沿海の巡哨官軍は、験実して即便に放行し、留難して阻滞するを得る毋からしめよ。
須らく執照に至るべき者なり。
計開す
在船都通事一員　楊文煥　跟伴四名
在船使者二員　向宏裕／毛応期　跟伴八名
存留通事一員　　陳宏毅　跟伴六名
管船夥長・直庫二名　林鳳游　仲達道
水梢共に六十一名
右の執照は存留通事陳宏毅等に付し、此れを准けしむ
乾隆四十四年（一七七九）十一月初十日

注（1）陳宏毅　陳弘毅のこと。乾隆二～五十九年（一七三四～九四）。久米村系陳氏（仲本家）十二世。仲本通事親雲上。乾隆帝の名前（弘暦）の一字を避諱し「陳宏毅」に改めた。乾隆三十六年勢頭座敷、三十九年都通事に陞る。乾隆四十四年の存留通事、五十七年の二号船都通事として中国に赴いた（『家譜（二）』四九六頁）。
（2）向宏裕　乾隆四十四年の在船使者。
（3）毛応期　乾隆四十四年の在船使者。
（4）林鳳游　乾隆四十四年の管船夥長。