2-52-05　琉球国中山王尚穆の、乾隆三十四年の接貢のため、存留通事魏開功等に付した執照（乾隆三十四《一七六九》、十一、十七）
琉球国中山王尚（穆）、恭しく勅書を迎え、併びに使臣を接回する事の為にす。
照らし得たるに、乾隆三十三年冬、業に貢使の耳目官毛徳儀・正議大夫毛維基等を遣わし、表章・方物を齎捧して天朝に入貢せしむ。本爵、福建等処承宣布政使司に移咨するを経て、起送して京に赴き、叩きて聖禧を祝らしめて案に在り。
茲に還国の期に当たれば、例として応に船を撥して接回すべし。此れが為に特に都通事林邦哲等を遣わし、梢役共に八十二員名を帯領して海船一隻に坐駕せしめ、前みて福建に至り、恭しく皇上の勅書併びに欽賞せる幣帛を迎え、及た京より回る使臣の毛徳儀・毛維基・毛景成は閩に在りて存留する梁廷枢等と与に還国せしめんとす。
但だ、差する所の員役は、文憑無ければ以て各処の官軍の阻留して便ならざるを致すを恐る。合行しく給照すべし。此れが為に、王府の礼字第九十七号半印勘合の執照一道を給発し、存留通事魏開功等に付し、収執して前去せしむ。凡そ遇う所の関津及び沿海の巡哨官軍は、験実して即便に放行し、留難して阻滞するを得る毋からしめよ。
須らく執照に至るべき者なり。
計開す
都通事一員　　林邦哲　跟伴四名
使者二員　　武成允／楊光祖　跟伴八名
存留通事一員　魏開功　跟伴六名
管船夥長・直庫二名　毛維楨　与利航
水梢共に五十八名
右の執照は存留通事魏開功等に附し、此れを准けしむ
乾隆三十四年（一七六九）十一月十七日

注（1）魏開功　高嶺里之子親雲上。乾隆三十四年の存留通事。『宝案』では乾隆四十五年、五十二年の在船都通事（巻六六・七三）としても名がみえる。乾隆五十二年の接貢は、乾隆五十三年七月十四日に那覇港を出発し、八月八日烽火山洋面で颶風に遭い漂流し、三沙地方に渡り、福寧府を経て福建に護送され帰国した（『家譜（二）』二三〇頁、紅日昴の譜）。
（2）武成允　仲尾次筑登之親雲上喜教（『家譜（二）』八四頁、金節の譜）。乾隆三十四年の使者。『宝案』では乾隆二十六年の司養贍大使（巻四五）としても名がみえる。
（3）楊光祖　康煕五十四～乾隆五十四年（一七一五～八九）。首里系楊氏（長堂家）八世。嘉味田親雲上昌常。乾隆二十四年当座敷、乾隆二十六年座敷に陞る。乾隆三十四年に官舎、四十三年に才府として中国へ赴いた。乾隆十年に真和志間切嘉味田地頭職を授かる（『家譜（三）』八七三頁）。
（4）毛維楨　雍正九～乾隆四十六年（一七三一～八一）。久米村系毛氏（與世山家）五世。乾隆三十六年に座敷に陞る。乾隆十八年、二十一年に勤学として福州へ赴き、三十四年に総官を務める。乾隆二十六年に宜野湾間切安仁屋村地頭職を授かる（『家譜（二）』七一八頁）。
（5）与利航　乾隆三十四年の管船直庫。『宝案』では乾隆三十六年の管船直庫（巻五五）としても名がみえる。