2-46-26　国王尚穆の、進貢のため耳目官馬国器等を派遣するむねの符文（乾隆二十七《一七六二》、十、十五）
琉球国中山王尚（穆）、進貢の事の為にす。
切照するに、敝国、世々天朝の洪恩に沐し、貢典に遵依して二年一貢して欽遵すること、案に在り。茲に乾隆二十七年進貢の期に当たれば、特に耳目官馬国器・正議大夫梁煌・都通事鄭鴻勲等を遣わし、表咨を齎捧して海船二隻に坐駕し、官伴・水梢共に二百を過ぎざるの員名を率領し、常貢の煎熟硫黄一万二千六百觔・紅銅三千觔・煉熟白剛錫一千觔を装運し、両船に分載す。一船は礼字第八十三号、煎熟硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・煉熟白剛錫五百觔を装載し、一船は礼字第八十四号、煎熟硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・煉熟白剛錫五百觔を装載し、前みて福建等処承宣布政使司に至りて投納し、起送して京に赴き、聖禧を叩祝す。所有の差去せる員役は、文憑無ければ、各処の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此れが為に理として合に符文を給発すべし。
今、王府、礼字第八十二号の半印勘合の符文を給し、都通事鄭鴻勲等に附して収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海の巡哨の官軍の験実に遇えば、即便に放行して留難して遅悞するを得る毋かれ。須らく符文に至るべき者なり。
計開、京に赴く
正使耳目官一員　　馬国器　 　　人伴一十二名
副使正議大夫一員　梁煌　　 　　人伴一十二名
都通事一員　　　　鄭鴻勲　 　　人伴七名
在船都通事二員　　魏献蘭　金宏　 　　人伴八名
在船使者四員　　　向汝弼　駱基安／金邦俊　翁亮撥 　　人伴一十六名
存留通事一員　　　蔡永胤　 　　人伴六名
在船通事一員　　　楊文煥 　　人伴四名
管船火長・直庫四名　阮廷宝　馬永烈／王三徳　安能慮
水梢共に一百一十九名
右の符文は、都通事鄭鴻勲等に付し、此れを准ず
乾隆二十七年十月十五日　給す

注（１）馬永烈　『宝案』では他に乾隆二十八年、三十一年にも直庫として名がみえる。