2-29-19　国王尚敬の、進貢のため都通事梁煌等に付した符文（乾隆十三《一七四八》、十一、二十四）
琉球国中山王尚（敬）、進貢の事の為にす。
照得するに、敝国、世々天朝の洪恩に沐し、貢典に遵依して二年一次すること、欽遵して案に在り。査するに、乾隆十三年は乃ち進貢の期に当たれば、特に耳目官向永成・正議大夫鄭秉哲・都通事梁煌等を遣わし、表咨を齎捧し、海船二隻に坐駕し、官伴・水梢共に二百員名を過ぎざるを率領し、常貢の煎熟硫黄一万二千六百觔・紅銅三千觔・煉熟白剛錫一千觔を装運し、両船に分載す。一船は礼字第五十一号、煎熟硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・煉熟白剛錫五百觔を装載す。一船は礼字第五十二号、煎熟硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・煉熟白剛錫五百觔を装載す。前みて福建等処承宣布政使司に至りて投納し、起送して京に赴き、聖禧を叩祝せんとす。
所拠の差去せる員役は、文憑無ければ、各処の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此れが為に理として合に符文を給発し、以て通行に便ならしむべし。今、王府、礼字第五十号の半印勘合符文を給し、都通事梁煌等に付して収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海の巡哨官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して遅悞するを得る毋かれ。須らく符文に至るべき者なり。
計開す、京に赴く
正使耳目官一員　　向永成　　　　人伴一十二名
副使正議大夫一員　鄭秉哲　　　　人伴一十二名
都通事一員　　　　梁煌　　　　　人伴七名
在船使者四員　　　向廷極　毛景功／向含章　毛開烈　 人伴一十六名
存留通事一員　　　蔡光祖　　　　人伴六名
在船都通事二員　　梁琴／鄭秉和　人伴八名
在船通事一員　　　鄭近仁　　　　人伴四名
管船火長・直庫四名　金台　馬利航／魏宗絢　和承烈
水梢共に一百二十名
右の符文は都通事梁煌等に付し、此れを准ず
乾隆十三年（一七四八）十一月二十四日

注（1）向廷極　乾隆十三年の在船使者。『宝案』では乾隆十九年の結状に紫巾官（巻三六）として名がみえる。
（2）毛景功　乾隆十三年の在船使者。
（3）毛開烈　賀数親雲上盛方（『家譜（二）』四六一頁、陳以桂の譜）。『宝案』では他に乾隆十三・十九年の在船使者として名がみえる。
（4）蔡光祖　康煕五十～乾隆三十一年（一七一一～六六）。久米村系蔡氏十二世（仲井真家）。仲井真親雲上。乾隆二十七年に中議大夫に陞る。乾隆元年に読書習礼のため福建に赴く。十三年の存留通事、二十一年の都通事、三十一年の朝京都通事となるが、福建に赴く前に没した（『家譜（二）』三二八頁）。
（5）鄭近仁　池宮城里之子親雲上（『家譜（二）』六八一頁、鄭維翰の譜）。乾隆十三年の在船通事。
（6）金台　康煕五十二～乾隆二十六年（一七一三～六一）。久米村系金氏十二世（阿波連家）。乾隆十三年の管船火長（総管）（『家譜（二）』八五頁）。
（7）魏宗絢　康煕五十三年（一七一四）～？　久米村系魏氏六世（慶佐次家）。高嶺里之子親雲上。乾隆十三年に管船火長（総管）、十七年に読書習礼のために福建に渡る（『家譜（二）』三四頁）。