2-26-12　国王尚敬の、接貢のため存留通事魏献芝等に付した執照（乾隆八《一七四三》、十一、十八）
琉球国中山王尚（敬）、進貢の官員を接回する事の為にす。
照得するに、乾隆七年冬、特に耳目官毛文和・正議大夫蔡用弼等を遣わし、表文・方物を齎捧し、官伴・水梢を率領し、船二隻に駕して閩に来たる。已経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き、聖禧を叩祝せんとす、等の因ありて案に在り。今、旧例に遵い、特に都通事林永隆等を遣わし、官伴・水梢共に八十二員名を率領し、海船一隻に坐駕して福建に前来す。恭しく勅書併びに欽賜の物件、及び京より回る貢使毛文和・蔡用弼、存留官鄭余慶等を接う。
所拠の差去せる員役は、並えて文憑無ければ、誠に所在の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此れが為に理として合に執照を給発し、以て通行に便ならしむべし。今、王府、礼字第四十四号の半印勘合執照を給し、存留通事魏献芝等に附して収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海の巡哨官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して遅悞するを得る毋かれ。須らく執照に至るべき者なり。
計開す
都通事一員　　　林永隆　　　　跟伴四名
使者二員　　　 温思義／向克類 　　　　跟伴八名
存留通事一員　　魏献芝　　　　跟伴六名
管船夥長・直庫二名　魏宗紀　馬利航
水稍共に五十八名
右の執照は存留通事魏献芝等に附し、此れを准ず
乾隆八年（一七四三）十一月十八日

注（1）向克類　乾隆八年の使者。瀬底親雲上。乾隆十四年にも接貢の在船使者（才府）として福建に赴いている（『家譜（二）』三一四頁、蔡功煕の譜）。
（2）魏献芝　康熙四十八～乾隆三十二年（一七〇九～六七）。久米村系魏氏六世（大湾家）。牧志親雲上。雍正六年に漢字御右筆相附となり、同九年に接貢船の管船夥長（総管）、乾隆元年に再び漢字御右筆相附、二年に漢字御右筆、三年には漢字御右筆主取となっている。四年皇帝の御書「永祚瀛壖」の臨書をなす。乾隆八年、接貢船の存留通事となり福建に渡るが、一貢免除となったため十二年まで滞在した。十七年・二十三年に朝京都通事、三十一年に正議大夫を務める。乾隆二十八年に申口座、三十一年に紫金大夫に陞る（「魏氏大湾家家譜」）。
（3）魏宗紀　康煕五十～乾隆二十九年（一七一一～六四）。久米村系魏氏六世（慶佐次家）。乾隆八年の管船夥長。二十一年の冊封の時には掌牲所通事役を務める（『家譜（二）』三三頁）。