2-16-24　国王尚敬の、接貢のため存留通事金鼐等に付した執照（雍正七《一七二九》、十、□）
琉球国中山王尚（敬）、進貢の官員を接回する事の為にす。
照得するに、雍正六年冬、特に耳目官毛鴻基・正議大夫鄭秉彝等を遣わし、表章・方物を齎捧し、官伴・水梢を率領し、船二隻に駕して閩に来たる。已経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き、聖禧を叩祝せんとす。進京の官伴及び存留の官伴を除くの外、所有の両船の員役は、本年七月の間に帰国す。今、旧例に遵い、特に都通事毛世安等を遣わし、官伴・水梢共に八十員名を率領し、海船一隻に坐駕して福建に前来す。恭しく皇上の勅書併びに欽賜の物件、及び京より回る貢使毛鴻基等を接う。
茲に所拠の差去せる員役は、並えて文憑無ければ、誠に所在の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此れが為に理として合に執照を給発し、以て通行に便ならしむべし。今、王府、礼字第十六号の半印勘合執照を給し、存留通事金鼐等に付して収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海の巡哨官軍の験実に遇えば、即便に放行し、留難して遅悞するを得る毋かれ。須らく執照に至るべき者なり。
計開す
都通事一員　　　毛世安　　　　跟伴
使者二員　　 顧□□／向廷瑛　　　　 跟伴
存留通事一員　　金鼐　　　　　跟伴
管船夥長・直庫二名　阮為棟　慶続照
右の執照は存留通事金鼐等に付し、此れを准ず
雍正七年（一七二九）十月　日　給す

注（1）金鼐　康煕三十八～乾隆元年（一六九九～一七三六）。久米村系金氏十一世（多嘉良家）。多嘉良里之子親雲上。康煕六十一年に読書習礼のため福建に赴き、雍正元年に存留通事林宗璉が病故したため存留代官を務め、二年に帰国。七年、接貢船の存留通事となる（『家譜（二）』一〇五頁）。
（2）向廷瑛　雍正七年の在船使者。
（3）阮為棟　康煕四十二～乾隆十二年（一七〇三～四七）。久米村系阮氏七世（神村家）。雍正七年に接貢船の管船火長（総官）を務めた後、乾隆二年、読書習礼のため福建に赴く。八年、再び読書習礼のために福建に赴き、翌九年、一貢免除により琉球館に存留通事が一人しかいない事態になったため、その補佐を務めたが病死した（『家譜（二）』一六六頁）。