2-09-05　世曾孫尚敬の、赴京の使臣の接回のため都通事鄭廷極等を遣わすむねの執照（一七一七、一〇、八）
琉球国中山王世曾孫尚（敬）、進貢の官員を接回する事の為にす。
切照するに、康煕五十五年冬、特に耳目官夏執中・正議大夫蔡温・都通事阮瓉等を遣わし、海船二隻に坐駕して表文・方物を齎捧せしむ。已経に福建等処承宣布政使司に移咨し、起送して京に赴き、恭しく五十五年の貢典を進む。進京の官伴及び存留の官伴を除き、其の余の両船の摘回せる員役、都通事楊宗礼・梁承寔、使者毛宗道・阿天職等は、仍お原船二隻に坐し、本年七月の間に于て方に帰国するを見る。但だ入覲の官伴及び存留の官伴は、向例として該国、船を発して接回す。久しく閩の地に淹り、以て天朝の廩餼を糜すに至らず。此の為に特に都通事鄭廷極・使者向維藩等を遣わし、海船一隻に坐駕し、水梢・人伴共に八十三員名を率領して福建に前来し、皇上の勅書併びに欽賞の物件を迎接して、京より回る貢使夏執中等と同に一斉に国に回らしめんとす。
茲に所拠の差去する員役は別に文憑無ければ、誠に所在の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此の為に王府、今、義字第一百四号半印勘合の執照を給して存留通事紅士顕に付し収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば即便に放行し、留難し遅悞して便ならざるを得しむる毋かれ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
都通事一員　鄭廷極　　　　人伴四名
使者二員　向維藩／雍国臣　人伴八名
存留通事一員　紅士顕　　　人伴六名
管船夥長・直庫二名　梁経　仲宗根
水梢共に六十名
右の執照は存留通事紅士顕等に付す。此れを准ず
康煕五十六年（一七一七）十月初八日

注（1）雍国臣　池原親雲上興成。一六六七-一七五三年。首里雍氏（目取真家）五世（『家譜（三）』八六〇頁）。