2-08-16　世曾孫尚敬の、進貢し封を請うため耳目官夏執中等を遣わすむねの符文（一七一六、一〇、一一）
琉球国中山王世曾孫尚（敬）、進貢し封を請う事の為にす。
照得するに、敝国は世々天朝の洪恩に沐し、貢典に遵依して二年一次なり。茲に康煕五十五年の貢期に当り、特に耳目官夏執中・正議大夫蔡温・都通事阮瓉等を遣わし、表・咨を齎捧し海船二隻に坐駕して官伴・水梢を率領せしむ。毎船に均幇する上下の員役は共に二百員名を過ぎず。常貢の煎熟硫黄一万二千六百觔・紅銅三千觔・煉熟白剛錫一千觔を装運して両船に分載す。一船は義字第一百二号にして煎熟硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・煉熟白剛錫五百觔を装載し、一船は義字第一百三号にして煎熟硫黄六千三百觔・紅銅一千五百觔・煉熟白剛錫五百觔を装載し、前んで福建等処承宣布政使司に至りて投納し、起送して京に赴き聖禧を叩祝せんとす。
所拠の差去する員役は並びに文憑無ければ、誠に所在の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此の為に王府、今、義字第一百一号半印勘合の符文を給して都通事阮瓉等に付し収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば即便に放行し、留難し遅悞するを得しむる毋かれ。須らく符文に至るべき者なり。
計開　京に赴く
耳目官一員　　夏執中　　　　　　人伴一十二名
正議大夫一員　蔡温　　　　　　人伴一十二名
都通事一員　　阮瓉　　　　　　人伴七名
在船都通事二員　楊宗礼／梁承寔　人伴八名
在船使者四員　毛宗道　武自仁／阿天職　浦啓瑞　人伴一十六名
存留通事一員　鄭儀　　　 　人伴六名
在船通事一員　毛世安　　　　 人伴四名
管船夥長・直庫四名　蔡坦　与那嶺／鄭国陳　仲宗根
水梢共に一百二十名
右の符文は都通事阮瓉等に付す。此れを准ず
康煕五十五年（一七一六）十月十一日給す

注（1）鄭儀　一六八八-一七四七年。久米村鄭氏（池宮城家）十三世。池宮城親雲上（『家譜（二）』五七八頁）。