1-42-31　琉球国中山王尚清の、馬加尼等を暹羅等の国へ遣わす執照（一五三八、一〇、三）
琉球国中山王尚清、進貢等の事の為にす。
切に照らすに、本国は産物稀少にして貢物を欠乏し、深く未便と為す。此の為に今、特に正使馬加尼・通事林栄等を遣わし、宇字号海船一隻に坐駕し、磁器等の貨を装載し、暹羅等の国の出産の地面に前往して両平に蘇木・胡椒等の貨を収買せしむ。回国して預め下年に大明天朝に進貢するに備う。
所拠りて今差去する人員は、別に文憑無くば誠に所在の官司の盤阻して便ならざるを恐る。王府、除外に今、黄字三十四号半印勘合執照を給して通事林栄等に付し、収執して前去せしむ。如し経過の関津把隘の去処及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば、即便に放行し、留難して因って遅悞して便ならざるを得しむる毋れ。所有の執照は須らく出給に至るべき者なり。
今開す
使者一員　馬加尼
副使二員　邁志　宋能
通事二員　林栄　蔡朝慶
管船火長・直庫二員　梁棟　呉剌
梢水共に一百七十四名
嘉靖十七年（一五三八）十月初三日
右の執照は通事林栄等に付し、此れに准ぜしむ
進貢等の／事の為にす　執照

注（1）梁棟　久米村呉江梁氏（亀嶋家）（『家譜（二）』七五八頁）。