1-42-18　琉球国中山王尚真の、麻美子等を巡達等の国へ遣わす執照（一五一八、九、一八）
琉球国中山王尚真、進貢等の事の為にす。
切に本国は産物稀少にして貢物を欠乏するに縁り、深く未便と為す。此の為に今、正使麻美子・通事蔡樟等を遣わし、信字号海船一隻に坐駕し、磁器等の物を装載し、巡達等の国の出産の地面に前往して両平に胡椒・蘇木等の貨を収買せしむ。回国して預め下年に大明天朝に進貢するに備う。
所拠りて今差去する人員は、別に文憑無くば誠に到処の官司の盤阻して便ならざるを恐る。王府、除外に今、玄字二百一十六号半印勘合執照を給して正使麻美子・通事蔡樟等に付し、収執して前去せしむ。如し経過の関津把隘の去処及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば、即便に放行し、留難して因って遅悞して便ならざるを得しむる毋れ。所有の執照は須らく出給に至るべき者なり。
今開す
正使一員　麻美子
副使二員　馬五剌　高義
通事二員　蔡樟　梁仕
火長　紅英
管船直庫　紐古
梢水共に一百五十三名
正徳十三年（一五一八）九月十八日
右の執照は正使麻美子・通事蔡樟等に付し、此れに准ぜしむ
進貢等の／事の為にす　執照

注＊暹羅あての〔四二-一六〕と、本文書とは同年月日で、信字号船、玄字二百一十六号の半印勘合執照であり、使者等の乗組員も同じ人員である。一隻の船に対して暹羅と巡達むけに、番号が同じ二通の執照が発行された例か。