1-42-06　琉球国中山王尚真の、王麻不度等を満剌加国へ遣わす執照（一五一〇、八、一九）
琉球国中山王尚真、進貢等の事の為にす。
切に本国は産物稀少にして貢物を欠乏するに縁り、深く未便と為す。此の為に今、正使王麻不度・通事高賢等を遣わし、義字号海船一隻に坐駕し、磁器等の物を装載し、満剌加国の出産の地面に前往して両平に胡椒・蘇木等の物を収買せしむ。回国して預め下年に大明天朝に進貢するに備う。
所拠りて今差去する人員は、別に文憑無くば誠に到処の官司の盤阻して便ならざるを恐る。王府、除外に今、玄字一百八十一号半印勘合執照を給して正使王麻不度等に付し、収執して前去せしむ。如し経過の関津把隘の去処及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば、即便に放行し、留難して因って遅悞して便ならざるを得しむる毋れ。所有の執照は須らく出給に至るべき者なり。
今開す
正使一員　王麻不度
副使二員　麻加尼　他魯
通事二員　高賢　高進
火長　蔡迪
管船直庫　馬三魯
梢水共に二百名
正徳五年（一五一〇）八月十九日
右の執照は正使王麻不度・通事高賢等に付し、此れに准ぜしむ
執照

注（1）蔡迪　久米村蔡氏（儀間家）六世（『家譜（二）』二五五頁）。