1-35-19　国王尚貞の、赴京の官員を接回するため都通事毛文善等を遣わす執照（一六九三、一〇、九）
琉球国中山王尚（貞）、進貢の官員を接回する事の為にす。
照得するに、康煕三十一年（一六九二）冬、特に耳目官馬廷器・正議大夫王可法等を遣わし、水梢を率領して船二隻を駕し閩に来り、表章・方物を齎捧せしむ。已経に貴司に移咨し、起送して進京し聖禧を叩祝す。進京の官伴及び存留の官伴を除き、其の余の員役は仍お原船に坐して本年七月の間に方に見に回国す。旧例に遵依して、入覲の官伴及び存留の官伴は該敝国、船を撥して接回し、久しく閩の地に淹りて以て天朝の廩餼を糜すに至らず。此の為に特に都通事毛文善等を遣わし、水梢共に八十三員名を率領して海船一隻に坐駕し、前来して皇上の勅書併びに欽賞の物件を迎接し貢使馬廷器等と同に一斉に回国せしむ。
茲に所拠りて差去する員役は、並びに文憑無くば誠に所在の官軍の阻留して便ならざるを恐る。此の為に理として合に執照を給発して以て通行に便ならしむべし。今、王府の義字第五十五号半印勘合執照を給して存留通事金溥等に付し、収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば、即便に放行し、留難し遅悞して便ならざるを得しむる毋れ。須らく執照に至るべき者なり。
計開
都通事一員　毛文善　人伴五名
使者二員　向輝之　温允俊　人伴八名
存留通事一員　金溥　人伴五名
管船火長・直庫二名　阮玠　丙起才
水梢共に五十九名
右の執照は存留通事金溥等に付し、此れに准ぜしむ
康煕三十二年（エハ九三）十月初九日給す