1-33-20　国王尚豊の、進貢のため正議大夫鄭藩献等を遣わす執照（一六四〇、二、二）
琉球国中山王尚（豊）、進貢の事の為にす。
案照するに、崇禎七年（一六三四）十一月十九日、聖旨を奉ずるに、三年両次に朝貢せよ、とあり。此れを欽み、欽遵す。此の為に、欽依内の事理を奉じ、遵守して奉行せよ、等の因あり。此れを奉ず。査して案照するに、崇禎十三年（一六四〇）は、歳に循い期に及びて、擬するに合に進貢すべし。此の為に特に正議大夫・使者・都通事等の官の鄭藩献等を遣わし、表・箋・咨文各一通を齎捧せしむ。二船に分坐し、水梢を率領す。毎船に均幇する上下の員役は、共に二百人の数に盈たず。庶務を愜労し、馬一十匹・海螺殻三千個、例として進むる生硫黄二万斤等の方物を載運し、来朝して進貢す。生硫黄二万斤は、行移の国に到れるを承准し、遵依して法の如く煎煉すれば、進むる毎の熟黄の応に一万二千百斤に該るべく、額に充つるに拠り、今年分は二船に装載し、熟黄の解到するは実に六千七百一十斤在るに拠り、毎船に三千三百五十五斤余を分載する外、仍お崇禎十一年分の進奉せる熟黄の、京に解りて充足せるを除く外の剰りて庫に存儲せる見在の熟黄五千八百九十斤を将てするに、就ち乗殻に中り、額に足りて共に一万二千六百斤を成し、崇禎十三年分の貢期の常額を充盈し、並びに欠少無からん、等の因あり。
差遣する解運の員役は、別に文憑無くば誠に所在の官司の盤阻して便ならざるを恐る。合行に給照して以て通行に便ならしむべし。此の為に今、仁字第四十九号半印勘合執照を給し、通事金正華等に付し、収執して前去せしむ。如し経過の関津把隘の去処及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば、即便に放行し、留難し遅悞して便ならざるを得しむる毋れ。此の為に給照す。須らく執照に至るべき者なり。
計開　　　赴京の
正議大夫一員　鄭藩献　人伴十名
使者一員　金是宝　人伴八名
都通事一員　梁廷器　人伴八名
存留在船使者二員　翁孝　温柔美　人伴四名
存留在船通事一員　金正華　人伴二名
管船火長・直庫二名　林有柱　藍宝
右の執照は通事金正華等に付し、此れに准ぜしむ
附搭の土夏布一百匹
崇禎十三年（一六四〇）二月初二日給す
執照

注＊同年月日の咨〔二〇-一三〕〔二〇-一四〕を参照。