1-27-13　国王尚貞の、進貢のため耳目官呉世俊等を遣わす符文（一六八四、一一、二五）
琉球国中山王尚（貞）、進貢の事の為にす。
旨の二年一貢を奉じ、欽遵せるは案に在り。査照するに、康煕二十三年（一六八四）は貢に当るの期なれば敢えて愆越せず。此の為に今、耳目官・正議大夫・都通事等の官の呉世俊・鄭永安・鄭明良等を遣わし、表・咨を齎捧して前来し進貢せしむ。因りて海船二隻を備えて水梢を率領するに、毎船に均幇する上下の員役は共に二百人の数に盈たず。煎熟硫黄一万二千六百斤・海螺殻三千個・紅銅三千斤を載運して福建等処承宣布政使司に前赴して投逓し、起送して京に赴く。
拠りて差去する員役は、並びに文憑無くば誠に所在の官軍の阻留して便ならざるを恐る。理として合に符文を給発して以て通行に便ならしむべし。此の為に王府、今、義字第三十六号半印勘合符文を給して都通事鄭明良等に付し、収執して前去せしむ。如し経過の関津及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば、即便に放行し、留難し遅悞して便ならざるを得しむる毋れ。須らく符文に至るべき者なり。
計開　　赴京の
耳目官一員　呉世俊　人伴一十三名
正議大夫一員　鄭永安　人伴一十三名
都通事一員　鄭明良　人伴七名
在船都通事一員　楊春栄　人伴五名
在船使者四員　和思温　倪定基　武国柱　牛功挙　人伴一十六名
存留通事一員　蔡炳　人伴七名
在船通事一員　阮廷嘉　人伴四名
管船火長・直庫四名　毛思恭　阮文煥　馬施顧　丙超才
右の符文は都通事鄭明良等に付し、此れに准ぜしむ
康煕二十三年（一六八四）十一月二十五日給す

注＊この進貢に関連する記事が『清実録』康熙二十四年十一月乙亥・十二月辛卯の条にある。また注（2）の阮廷嘉の家譜によれぼ、この進貢船中一隻は帰途に康熙二十四年七月十六日、八重山で破船し沈没した。
（1）蔡炳　一六五七-九四年。久米村蔡氏（儀間家）十一世（『家譜（二）』二六三頁）。
（2）阮廷嘉　一六四七-八五年。久米村阮氏（𤘩宮城家）四世。
この進貢の帰途に八重山で水死した（『家譜（二）』一五六頁）。