1-27-06　琉球国王府の、進貢のため耳目官呉文顕等を遣わす符文（一六六八、二、一五）
琉球国中山王府、進貢の事の為にす。
聖旨の二年一次の朝貢を奉じ、此れを欽み、欽遵す。案照するに、康煕七年（一六六八）は例として歳期に該れば、理として合に進貢すべし。此の為に今、特に耳目官・正議大夫・都通事等の官の呉文顕・王明佐等を遣わし、表・咨文を齎捧して前来し進貢せしむ。
因りて海船二隻を備え、水梢を率領するに、毎船に均幇する上下の員役は共に二百人の数に盈たず。庶務を愜労して煎熟硫黄一万二千六百斤・馬十匹・海螺殻三千個、正貢の外に特に加えたる黒漆〓（血＋舀）螺茶鍾一百個・紅銅六百斤等の方物を載運し、福建等処承宣布政使司に前来して投逓し、起送して京に赴く。
拠りて差去する員役は、並びに文憑無くば誠に所在の官軍の盤阻して便ならざるを恐る。理として合に符文を給発して以て通行に便ならしむべし。此の為に王府、今、義字第十三号半印勘合符文を給して都通事鄭宗徳等に付し、収執して前去せしむ。如し経過の関津把隘の去処及び沿海巡哨の官軍の験実に遇わば、即便に放行し、留難し遅悞して便ならざるを得しむる毋れ。須らく符文に至るべき者なり。
計開　　　赴京の
耳目官一員　呉文顕　人伴十一名
正議大夫一員　王明佐　人伴十一名
都通事一員　鄭宗徳　人伴六名
在船都通事一員　金正華　人伴四名
在船使者四員　翁重昌　杜理順　孫俊用　胡士俊　人伴十六名
留辺在駅通事一員　鄭永安　人伴三名
在船通事一員　曾益　人伴三名
管船火長・直庫四名　金世瑛　楊春栄　徐永念　吉納
附搭の土夏布二百匹
右の符文は都通事鄭宗徳等に付し、此れに准ぜしむ
康煕七年（一六六八）二月十五日給す
符文

注（1）留辺在駅通事　存留通事〔二七-一〇〕注（3）に同じか。
（2）在船通事　『歴代宝案』第一集では康煕五年以降の符文・執照に記載がみられる。久米村系の人を任ずる。初期には多くの場合、一回の進貢に在船通事一人、在船都通事一人が任じられ、それぞれ別船に乗るが、頭号船か二号船かは特定せず、在船通事の人伴の数は二人ないし三人であった。
康煕十九年頃から、一回の進貢に在船通事一人、在船都通事二人が任じられ、在船通事は二号船に在船都通事一人と共に乗船し、各々四人の人伴を持つという形にほぼ定着した。なお在船通事は乗船した船の執照をあずかった。
（3）楊春栄　この時の執照〔三四-一三〕では楊国盛とある。