出前授業のご報告(県立泊高等学校)

 2023年2月21日(火)、沖縄県立とまり高等学校定時制課程(夜間部)の「郷土の歴史と社会」受講生を対象に「とまり外人墓地から琉球の歴史を考えよう」と題した出前授業を行いました。

 那覇市の指定文化財「とまり外人墓地」は18世紀以降、沖縄で死去した外国人22名の墓、通称「ウランダー墓」がもととなっており、琉球王国時代の諸外国との交流を示すあかしとなっています。

 授業の前半では、現地調査として、とまり高等学校に隣接りんせつする「とまり外人墓地」の中を実際に歩きながら、本墓地で最初にほうむられた中国人漂着者ひょうちゃくしゃや、19世紀以降のイギリス人・アメリカ人・フランス人などの墓碑ぼひを確認しました。

最古の中国人墓について説明を受ける生徒たち
アメリカ人水兵ボードの名を確認する
イギリス人水兵ハリスの墓を確認する

 その後、教室へ移動し、墓碑を確認した5人の人物について、『歴代宝案れきだいほうあん』『白姓官話はくせいかんわ(中国語通訳者のための学習テキスト)』や欧米人おうべいじんの記した航海記こうかいきなど歴史資料に残された記録を読みながら、来琉の経緯けいいや死亡の様子について確認しました。また、彼ら外国人に対する琉球の対応には、冊封さくほう朝貢ちょうこう関係にあった琉球と中国、琉球の実質的支配者であった薩摩との関係性が色濃く反映していた事について考察しました。19世紀以降、欧米人おうべいじん埋葬まいそうが増えた理由についても、当時の琉球をめぐる国際情勢こくさいじょうせいの変化と共に考えました。

 この近世から近代へ大きな変動をげた琉球の歩みを物語る「とまり外人墓地」の文化財的価値について、受講した生徒からは「琉球王国時代の歴史を物語る大切な場所なので、これからも大切に保存し、たくさんの人に知ってもらいたい」などの感想が聞かれました。

 なお、本授業で使用した教材は「もっと知りたい交流史」デジタル教材を参照ください。